アルパイン・アルバートル


portrait

 ルニ・トワゾ歌劇学園一年。
 身体での表現を得意とするクラス、クーデールに所属し、主にクロウを担当している。
 跳躍力と滞空時間が他人に比べて突出している彼のダンスは、さながら猫が獲物を狙うかのような鋭さを放っているが、鳥類学者を親に持つ彼は幼い頃から鳥に憧憬を抱き続けている。
 幼少期は空を飛ぶことに憧れ、将来は曲技飛行隊に入隊して空で踊ることを夢見ていたが、ある日乗ったジェットコースターにて、自身が高所と浮遊に強い恐怖感を抱いていることに気が付き、挫折。
 それから地上でも鳥のようになれる場所を探し求めていたところ、劇団ロワゾで公演されていた鳥をモチーフにしたミュージカルに出会い、感銘を受け、ルニ・トワゾへの入学を決意する。
 現在はクロウとして絶え間なく努力を続け、自身が持つ高所や浮遊感への恐怖を克服しようと練習に励んでいる。
 ただ、時折焦燥から自ら高い舞台装置の上に立ち、恐怖から下を見ないよう踊ろうとするため、クラスメイトは彼がいつか怪我をするのではと心配している。彼が入学してからというもの、高さのある舞台装置の下には異様な数の衝撃緩衝材が置かれるようになった。
 いつかはレイヴンとして鳥をモチーフにした舞台で主役を演じることを夢見ている。
 余談だが、ベロニカに反してアルパインは恋愛話がすこぶる苦手で、創作物であっても話を聞いただけですぐに顔が真っ赤になってしまうとか。ただ、根が真面目であるため、ベロニカから押しつけられた恋愛小説をそのたびにすべて読了しては事細かに感想を述べているらしい。
 また、アルパインは手先が器用だ。制服の上着には背に翼の刺繍が入っているが、これは彼が自分で刺したものであり、クーデールの生徒には好評である。

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