アニス・アドニス・アドリアティック


portrait

 ルニ・トワゾ歌劇学園卒業生。元ココリコクラス。
 学生時代はスワン及びレイヴンを務めるピーコックであり、現在は劇団ロワゾにてレイヴンとして多大なる人気を博している舞台俳優である。
 童話めいた物語やファンタジー世界を舞台にした公演に非常に多くレイヴンとして抜擢され、その大半で「王子」役を担当している。
 故に、ロワゾ・プリンスと聞いたら多くの者はまず彼の姿を思い浮かべるだろう。
 また、彼が舞台俳優として注目されるようになった公演は、ダリア・ダックブルーが書いた「幸福の王子」を下敷きにしたファンタジー作品であり、そこでも彼は「王子」役を務めている。
 彼はダリア・ダックブルーの後輩に当たる役者であり、エグレットクラスが存在しなかったアニスの学生時代を振り返ってみても、決してダリアに師事していたわけではないのだが、しかし彼はダリアのことを「先生」と呼んで慕っている。
 ルニ・トワゾ時代、アニスがスワンを務めた三年次の冬公演にて使用した脚本が、ダリア・ダックブルーが初めて脚本家として書いた物語だったのだ。
 彼はその舞台で「魔法使い」役を担当し、見事優勝を勝ち取る。
 以降、彼はダリアの前と、それから気まぐれに自らを「魔法使い」と自称し、そこからスワンを務めることがなくなった。
 王子として名高い彼であるが、そのプライベートは一切が謎に包まれており、メディアにもほとんど顔を出さない。
 唯一彼が記者の前に出ることを許したのは、卒業公演のインタビューのみであり、「趣味は?」と訊かれた彼は、その美しい顔でそうっと微笑み、「海を見つけること」とだけ答えたらしい。
 これはかつての学友と教師、そしてダリアのみが知っていることだが、アニス・アドニス・アドリアティックというのは彼の芸名であり、本名は「アリア・アリス」という。

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