劇団ロワゾ


 世界中の至るところに劇場を構え、絶え間なく公演を続ける世界屈指の大規模劇団。劇団員、脚本家、演出家、劇団ロワゾにかかわる人間はそのすべてが男性で構成されており、当然、男役だけではなく娘役も男性の役者が担当している。
 劇団ロワゾ及びルニ・トワゾ歌劇学園では、役者に対する特徴的な呼び名がいくつかある。たとえば「レイヴン」。これは劇団ロワゾ及びルニ・トワゾ歌劇学園での主演男役を指し、対する主演娘役は「スワン」と呼ばれる。
 他にも「クロウ」、「ダッキー」、「ピーコック」など、様々な呼び名が存在するが、それはまた別項にして詳細を記載しているため、詳しくはそちらを参照してほしい。
 劇団ロワゾの始まりは一八五四年、レイヴン・レグホーンが戦時中のフランスにて移動型のサーカス団を結成、オルレアンを中心に兵役を逃れながら国中を回り、自身も役者として舞台に上がりながら、その運営を務めたことが発端とされ、死を恐れながらも罰を恐れなかったサーカス団の公演は、戦火に怯える大衆に生きる希望を与えたという。
 一八五六年、サーカス団から歌劇一座へと転身。「劇団ロワゾ」という名はこのときにレイヴンが名付けたものである。移動型の劇団として、フランス各地を転々としながら役者を集めた。
 経営が安定してきた頃、フランスとスペインに挟まれるように存在する小さな国、ローレアにて小規模の劇場を購入。増員された劇団員数十名をそこに配置し、定期的に公演を行いながら、残った劇団員たちと共にレイヴンは世界中を回り、役者を集め、また劇場を購入或いは建設する、という行いをルニ・トワゾ歌劇学園を創立してもなお生涯に渡って繰り返した。生前の彼が育てた劇団員は数千人にも上り、世界各地に設置した劇場の数も数百に上る。
 ルニ・トワゾ歌劇学園では、卒業生の多くは役者として劇団ロワゾへと入団することになる。そこでは学園内とは比較にならない役者同士の苛烈な戦いが日々繰り広げられているが、そんな彼らの人生は常に高め合いの連続で、激しく苦しくも非常に鮮やかなるものである。
「鳥は少しずつ巣を作る」。
 無論、この言葉は、劇団ロワゾの劇団員たちにも当てはまる。彼らはいつでも物語のために、その命を賭しているのだ。空に羽ばたく、美しい鳥たちのように。

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