ローレア


 ローレア王国、もしくはローレア国、通称ローレアは西ヨーロッパのフランスと南ヨーロッパのスペインの間に位置する国土二五〇〇〇平方キロメートルの立憲君主制国家。現在は西ヨーロッパに分類される。首都はエクラン。劇団ロワゾの本拠地やルニ・トワゾ歌劇学園は首都に位置している。
 劇団ロワゾ発足の地として芸術の国と名高いローレアは、またの名を劇場都市とも称され、国内だけで約三千の劇場を有する。そのうちの二五〇〇が劇団ロワゾの管理下にあり、人々に夢を与えるべく、日夜様々な劇が上演されている。無論、我が国を彩る芸術は演劇だけにとどまらず、街を歩けば美しい音楽、美術、文芸、等々に出会うことができる上、景観を損なうことがないよう計算され尽くした街もまた芸術と呼べるほどに美しい。
 加えてローレアには、日本ほど顕著ではないが四季が存在する。春には桜、夏には新緑、秋には紅葉、冬には降雪と、ローレアの街は季節によって様々な表情を見せてくれる。更に、豊かな自然を有するローレアでは、土地ごとによって異なる気候をもつ地域もあり、たとえば首都エクランをぐるりと囲むデンデメネには美しい緑色の田園風景が広がっているが、山間部のベルロージュは他の地域に比べて寒冷で、ローレアの中で降雪が最も多い土地となっている。芸術が常に自然と共にあることを、ローレアは国全体で表現しているのだ。
 鳥の声に歌を聴き、翼に舞を、風に色を覚える者は皆、心に芸術の巣をもっている。そして、「芸術の巣の卵を孵したくば、ローレアの空を目指せ」とは、古くから他国よりローレアに対して語られる、一種のことわざだ。我が国に対する考え方は時を経ても色褪せることなく、現在でも東西南北から老若男女問わず、自らの卵を孵すために様々な芸術の徒がローレアを訪れている。

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