劇団寮ペルシュン


 劇団ロワゾの本拠地、エクラン大劇場の敷地内に併設されている劇団員のための寮で、劇団員からは愛を込めて「ペルシュン(止まり木の意)」と呼ばれ、親しまれている。エクラン大劇場だけでなくロワゾが所有する劇場には原則としてペルシュンが併設されており、劇団に籍を置く者であれば、所属にかかわらず任意で入寮することが可能なため、役者はもちろんのこと監督、脚本家、大道具係、衣装係等々の様々な人間がこの寮で生活を行っている。
 入寮者数が増えるごとに増改築をくり返し、現在は地上七階建ての巨木と化している。一階に居住スペースは設けられておらず、代わりに四部屋の大稽古場と十の小稽古場に、ロワゾの舞台資料はもちろんのこと、ジャンルを問わず古今東西の文献資料が詰め込まれている資料室、応接室、食堂などの施設が備わっており、劇団員の仕事と生活の両側面を支えている。
 二階から上の階層は劇団員の居住区画となり、一階ごとに内装の雰囲気ががらりと変わるので、入寮希望の劇団員は基本的に自身が好みの階に寄宿することになる。一人一部屋与えられ、各階にそれぞれ談話室が用意されている構造はルニ・トワゾ歌劇学園での寮生活に近しいものであるため、大半の劇団員にとって受け入れやすい様式の寮となっている。
 ペルシュンは鳥の歌と踊り、羽ばたき、そして物語を栄養素として伸び育つ樹だ。ゆえに、この大木が生長を止める日は、きっと未来永劫やってこないのだろう。