ピーコック


 劇団ロワゾ及びルニ・トワゾ歌劇学園における「男女両役を演じることができる役者」を意味する。
 語源としては劇団ロワゾにて初めて男役も女役も担当できる役者として舞台に立っていた人物、「ピーコック・ピジョンブラッド」が由来とされており、彼は男女両役だけではなく、一公演で何役も兼役をすることができる、非常に稀有な役者であったとされている。
 こんにちのピーコックもその内側は複雑なものであり、レイヴンとスワンを演じるピーコックもいれば、クロウとダッキーを演じるピーコック、そしてレイヴンとダッキー、クロウとスワンなど、ピーコックとしての種類も役者によって様々だ。もちろん、レイヴン、スワン、クロウ、ダッキーそのすべてを演じられる役者もいれば、かつてのピーコック・ピジョンブラッドのようにレイヴンとスワンを一人で同時に演じられる役者も存在する。
 ピーコックと呼ばれる彼らの役者としての幅は、その名の通りクジャクの尾羽のように広い。
 けれども呼び名の華やかさや役者としての幅広さには関係なく、或いはそうであるからこそ、彼らもまた常にレイヴンやスワンといった役者たちと同じ深さに潜ることを要求されている。明敏に大空を駆け、美しく水に浮かぶことを求められ続けている。
 物語のために、彼らの飾り羽はいつでも着脱自由でなくてはならないものなのだ。

- ナノ -