クロウ


 劇団ロワゾ及びルニ・トワゾ歌劇学園における「男役」を意味する。
 レイヴン──つまりカラスの別名称である「クロウ」がその呼び名の由来とされており、こちらもまたいつ頃から使われはじめたのかは明確ではないが、おそらく主演男役がレイヴンと呼ばれ出した頃と同時期であろうと推察されている。
 クロウには様々な役割がある。役として名前の付いた、その舞台でレイヴン、スワン、ナイチンゲールに次いで主要な存在となるクロウもあれば、名前の付かない、大勢の民衆として背景に溶け込む存在となるクロウもある。そしてそれはどちらが正しくて、どちらが優れているのか、という問題ではない。どちらも正しく、どちらも優れていなければならないのだ。
 レイヴン、スワン、ナイチンゲールはひたすらに個の存在である。しかしクロウ、そして次頁にて解説するダッキーはそうはいかない。
 彼らは個であり、大勢であり、そして背景であり、空間であり、世界である。
 クロウ、ダッキーには、そのすべてを担う責任が伴う。
 いかに正しく、優れ、群れるか。彼らには常に、その実力が試されている。我々の舞台は、彼らなしでは決して成り立たないのだ。何故なら物語には、いつも世界が必要不可欠なのだから。

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