青い火がいちばん熱い


「お前さあ」
「何?」
「俺がなんかヤバい炎上とかをしたとすンじゃん」
「……したの? お前、SNSの運営だけはするなってあれほどマドンナに言われてたのに?」
「してたらもっと焦ってる」
「そう?」
「で、二度と舞台に上がれないくらい俺が燃えるとするじゃん。そしたらお前どうすんの?」
「どうするって?」
「俺のこと追い出すわけ?」
「どこから?」
「……部屋?」
「さあ。そのときになってみないと分からないけれど」
「薄情なやつ」
「お前ほどじゃないよ」
「まさか。俺ほど情に篤い人間は他にいないと思うけど?」
「どれくらい?」
「俺の手を離したらその手でお前の首を絞めてあげる」
「へえ」
「ってか、俺が燃えたらお前にも飛び火すンだろうね」
「どうでもいいかな」
「それって誰の台詞?」
「ルージュ、お前の台詞だよ」
「どうでもいいかな」
「お前は燃え慣れているだろう?」
「俺のからだって燃えやすいみたい。処刑場の火の粉は熱かった?」
「火傷するほどじゃあないけれど」
「赤い火だからね。青い火がいちばん熱い」
「ルビー」
「何?」
「欲しいものでもあるの?」
「欲しいものは欲しいって言えんだよ、サフィー。俺のことをガキだと思ってる?」
「少しね」
「正解。だから加減が分からないんだ、いつもね」


2022/02/22

- ナノ -