真似をしてよ


「正直、リズムに乗るとかよく分かんねえ」
「え?……リカ、クーデールなのに?」
「うん。だから、クーデールじゃないんじゃね、俺? ってよく思うケド」
「でも……リカがクーデールに受かったのと同じように、クーデールに落ちた人もいるわけだよね」
「そりゃそうだなあ」
「じゃあ、リカには才能があるってことでしょ?」
「それはどうかなあ。俺らの年が才能なさすぎただけじゃね?」
「ええ?」
「ってか、努力不足?」
「努力不足?」
「リカちゃん、ルカが受かればそれでいーやと思ってたけど、まあ、それなりに練習したわけじゃん?」
「え? リカ、そんなこと思ってたの」
「え? うん」
「そうなんだ……」
「ルカって、音ゲーするときにリズム感で叩くタイプだろ?」
「みんなそうじゃないの?」
「さあ? でも俺は譜面見て叩くタイプなわけ」
「努力家ってこと?」
「よく言えばそうなんのかな?」
「リカ、怒ってるの?」
「ええ? だってさあ、ムカつくじゃん、この前の公演! 覚えてる? 俺がヘアメイクにえ、そのメイク古くね? ちょいダサじゃね?≠チて言ったら烈火のごとく怒られたやつ。俺ほんとのこと言っただけでしょ。実際、クーデール負けたし。図星突かれてキレるとかバチバチのメイクしててもダサさ百倍だわ」
「古き良きって言ってたよ」
「その良き≠ヘどこに行っちゃったんだろうねえ」
「……リカの頭の中、とか?」
「そうかも? リカちゃん天才だかんなあ。物語に必要な色くらいは分かっちゃうんだなあ、これが」
「リカって、絵を描くときに感覚で色を選ぶでしょ」
「みんなそうじゃねーの?」
「さあ。でも僕は色相環を見て選んでるよ」
「まじ〜?」
「まじ」
「俺らって似てんねえ」
「似てないの間違いじゃなくて?」
「そうとも言うかも。双子だかんね」


2022/02/22

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