片割れの居場所


目を覚ませば、見覚えのない機械に取り囲まれていて。
横には守護者達もいた形跡。

なんだ?

頭がはっきり回らない。


なんで、ここに寝ていた?
なんで、超直感は酷く警報を鳴らす?

焦る、焦るのは。


「…………戦争は、どうなったの」


ミルフィオーレと、ボンゴレの、世界を巻き込む戦いは。




部屋を出れば、何やら騒がしかった。


「作戦通りだな、小僧!」

「さすがリボーンさんっす!!」

そこには俺を外したボンゴレの主要メンバーがいて。

皆思い思いの場所に座り何だか嬉しそうだ。


「まさか過去の僕達に白蘭を倒させるなんてね」


は?

今、なんて、


「今の駄目ツナは腐抜けてやがるからな、過去のアイツならまだ延び代がある」

「にしても沢田の野郎が白蘭を唯一倒せる存在だなんて未だに信じられないぜ」


おれ、が白蘭を?


混乱する頭で話を盗み聞きすれば。

戦争に乗り気ではない俺に見切りをつけて、過去から主要メンバーをリングと共に呼び出したらしい。

力の源である大空のボンゴレリングは壊された、と嘘をついて白蘭に渡し封印してもらっていたから。

必然的にボンゴレはリングが使い物にならず、過去に頼るしかなかった。


そして過去と入れ替わるはずの俺達をあの機械だらけの部屋で眠らせて。過去へ飛ばないよう細工したらしい。


過去の俺達はまだリリスに出会う前で、とても懐柔しやすかった、とリボーンがせせら笑った。

十年後のザンザスや骸でさえ傷ひとつつけられなかった白蘭を、過去の俺に倒させたと。


何も、何も知らない俺を。

無知な俺を言いくるめて彼に手をかけさせたの。

『白蘭』を、知らない、俺を。

彼が、何の為に戦っているか分からないまま、俺の手を汚れさせたの。


愛しい人を、過去のこの手で。


かたかた、震える手を抑えて、白蘭の居場所を頭の中で巡らせる。
きっと、捕らえられている。あんな強大な力をボンゴレが放っておく訳がない。


助けなければ。

どうか、どうか無事でいて。


俺は守護者達に気づかれないよう、密かに地下牢へと駆け出した。



「そういや、リリス。十一代目は?」

「昼寝しているわ、……ツナ君がもっと可愛がってくれればいいのだけれど」

実の子どもなのに愛していないのかしら、と悲しそうに笑うリリスに、同情的な目を向ける守護者達。

「沢田は父親になるんだからもっとリリスを大切にするべきなんじゃないの」

「全くだ!!男の風上にも置けないな!」


ため息と嘲笑がその一室を満たした。








――――――…い、ない。


地下牢にはめぼしい人はおらず、看守に尋ねても最近入った人はいないと言う。


どこに、どこにいるの。

おれの、


おれの唯一の。



何も考えず赴くままに足を進めて。

白い廊下を突き抜けて、何十も連なる部屋を通り抜けた、その時。


ひとつだけ、違和感の扉。


きっと、ここにいる。


早く、開けなければ。

早く、助けなければ。


ああ、でも開けたくないよ。



だって、だって。

ここ、は。






――――――『実験室』



ふるえるあしをしったして
(直感、お願いだから外れて!)






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