ふたり、華一匁


「きみがほしい」


なんで、なんで俺なの


「判らない、判らないけど欲しくて堪らない」


俺、俺何にもないよ


「そんなのどうだっていいよ」


ボンゴレリングも無いんだ


「もう興味ないよ」


力ももう残ってない


「君の力が欲しい訳じゃない」


頭だってよくないよ


「それでも愚かではないよ」


子供を産める身体でもない


「君さえいればいいよ」


何にも、何にも持ってはいないし、何にも残せやしない!


(だって全部奪われちゃった!)


「君は君自身を持っているし、記憶は残るよ」


「ねぇ、ツナくん」

「きみを、ちょうだい」


白蘭、
ほんとにほんと?

超直感は嘘じゃないことを教えてはくれるけれど。

信じても、いい?


「今更、人なんかを信じられないとは思うけど」

「どうか、わかって」


白蘭、俺ね。

要らない、要らないと皆に言われ続けて。精一杯築き上げたものもぽっと出の女の子に崩されて。

名前さえも呼ばれなくなったんだ。


はないちもんめでずっとずっとひとりきり。


ねぇ、俺でいいの、

俺なんかでいいの。


ボンゴレボスじゃない俺に、価値はあるの。


「他の奴等は気付かなかっただけだ」

「ツナくん」


「きみが、きみだけでいいんだ」


俺が欲しいと涙する彼は、なんて愚かなの。

俺なんか、俺なんかを欲しがって泣くなんて!


「お願いだから、僕のものになって」


そっと、そっと。

震える手を。



のばしたのは、どちら?
(本当に欲しいのは君のこころ)






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