愛を叫べば


ダメツナの仮面を被って早2年。
もうすぐ並盛小に入学する年になった。

ダメツナを通して見る世界はこんなだったのか、と改めて嘆息する。

ダメツナらしく、ドジで、泣き虫で、何も上手く出来ない立ち振る舞いをすればするほど
父親の目から期待の二文字は消え去っていった。

そして半年前、イタリアに旅立ってしまった。どうやら残るボス候補を探しに行くらしい。

(門外顧問なら演技ぐらい見破れよ)


遊びにきたという九代目はしっかり見定めにきやがった。
そしてもう用はないとばかりに速攻イタリアへ帰っていった。

(超直感も冴えない耄碌ジジイが)


おんなじことの繰り返し。
記憶があるだけで世界はこうも色を無くすのか。

かみさま、一体俺に何をさせたいの。





ここ数日冴える超直感は、なにかが起こると警告を鳴らす。
記憶を思い巡らしてもこの時期変わったことは無かったはず。

未来が、変わってきてる?


漠然とした不安に駆られながらも、俺はいつも通り平凡に過ごすはず、だった。





「つな」

え、と思考が固まる。
ここ、俺の部屋だよね?

陽の光が透ける綺麗な白の髪、に優しい、優しい笑みを湛えた
(部下からは嘘臭いと言われていたけれど)彼は、正しく。


間違く、彼だ。え、好きすぎて遂に幻覚?

つらつらと考えていたら気付いたら端正な顔が目の前で首を傾げていた。



「…僕のこと覚えてない?」

つなも記憶を受け継いでると思ったんだけどなぁ、と眉が下がる。

その悲しい顔に前世の記憶と重なって。
守れなくて、ごめんね、と謝る君の!


「…っ、覚えてるよ!!」

そんな、そんな顔もう見たくないよ!!
俺の、せいで!

彼の頭を掻き抱いて。
ぎゅっと抱き締めれば最後の冷たい身体の記憶とは違うことに安心した。


「…………白蘭」


視線を合わせて、おでこをぴとり合わせて。

あぁ、昔はとてつもない身長差だったのに。
今は簡単に触れ合える!
なんて、なんて嬉しいの!


にこり。
紫の双眼を優しく細めて。

口では語りきれない愛情は互いの瞳から溢れるようだった。


「迎えにきたよ」

「びゃく」


「今度こそ、守るからね。」


愛情と共に溢れるのは、互いの涙だった。





せかいはいろあざやかに
(やっぱりこの手は離せない)






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