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同性とは距離感が近い時があるが異性でこんな距離が近いのはダイゴくんが初めてでドキドキが止まらない。
私に意識してもらうためにダイゴくんがわざとしているんだろうけど心臓に悪い。
さっきの洞窟で石を掘った時もきっとそうなんだろう。
振り向かせるって言ってたけど初っ端からこんな感じなんだからホウエンに行ったらどうなるんだろう…。このまま猛アタックされて私が根負けしてダイゴくんと付き合ってしまうのだろうか。

でも根負けする前に私自身がダイゴくんをどう思っているか真剣に考えて答えをみつけたい。
あぁでも少しだけチリちゃんに相談したいけど許されるかな…。
少しだけこのぐちゃぐちゃになった感情を吐き出してしまいたい。
吐き出してしまったらきっと冷静になってダイゴくんのこと考えることができるだろうし。
でもチリちゃんには迷惑かもしれないけど。
家に着いたら電話でもかけて見ようかなと考えているとダイゴくんが私の名前を呼んだ。

「もうそろそろテーブルタウンに着くよ」

「ありがとうダイゴくん」

「意外と早く着いてしまったから少し名残惜しいけどメリアちゃんも引越しの準備があるだろうから連れ回すのも我慢するね」

「ホウエンに行くのも迫っているし…ちゃんと準備しないとだね。ところでダイゴくんはホウエンにはいつ戻るの?」

「僕かい?明後日の朝には戻るよ」
本当はもう少しパルデアで石を探したいけどそうもいかないからねとダイゴくんは笑った。

「明後日の朝か…早いね」
意外と早い出発に驚いたがダイゴくんにも色々あるんだろうと思った。チャンピオンでデボンコーポレーションの御曹司だし。

「名前ちゃんがホウエンに戻ってくるの楽しみにしてるよ」
仕事の休みとかに一緒にホウエンの色んな場所に行こうねと誘われアタックに隙がないなと感じた。

「降りる場所はポケモンセンターで大丈夫だったよね」

「うん、大丈夫だよ。そこからは歩いて帰れるから本当にありがとう」

「もう暗いし家の近くまでは送るつもりなんだけどなぁ」

「それじゃダイゴくんが帰るの遅くなっちゃうよ」

「僕は大丈夫だから、ね?それに名前ちゃんが変な人に襲われたら大変だしね」

「襲われはしないだろうと思うけど…でもダイゴくん引く気ないよね?」

「あははそうだね。連れ回すのは我慢するけどまだもう少しだけ名前ちゃんと居たいから送らせて欲しいな」
ダメ?とお願いされてしまい悩んだが断っても着いてきそうだし了承した。

話がまとまりポケモンセンターへと降り立つとダイゴくんはエアームドをボールへと戻した。

南三番エリア側だから私が住んでいるアパートまで10分くらいだろう。
ダイゴくんに階段がたくさんあるけど平気かと聞くと石を掘るのに山を登ることがあるから平気だよと返された。
あぁ、確かにと納得しているとダイゴくんから今は一人で暮らしているのかい?と尋ねてきた。

「今は一人で暮らしてるよ。プラトタウンに実家はあるんだけどね」
テーブルタウンの方がリーグから近いし買い物とかも便利だしアパートを借りてるんだよと説明するとそうか…と納得している様であった。

「ダイゴくんは一人暮らし?」

「そうだね、トクサネに家があるけど何もない家だから…」

「ダイゴくん何もないって言うけど石はたくさんあるんでしょう?」

「あははそうだね、石はたくさんあるよ。名前ちゃんにあげるはずだった月の石もトクサネの家にあるからまた案内するね」

「ありがとう、ダイゴくん」

その後も話が尽きず様々な話をしている内に私が住んでいるアパートに到着した。
このままダイゴくんに帰ってもらうのも気の毒だけど今は引っ越し準備で人を呼べる状態じゃないので何か別のことでお返ししようと思った。

「無事に送り届けることが出来て良かったよ。これで僕も安心してホテルに戻れるよ」

「ダイゴくん本当にありがとう、ホテルに戻ったらゆっくり休んでね」

「名前ちゃんこそ、今日は疲れたと思うから早めに休むんだよ」
流石に今日は引っ越し準備は疲れてできないのでダイゴくんが言うように早めに寝よう。

「そうするよ、ダイゴくん」
早めに休むことを約束するとダイゴくんは満足気に笑いそっと私の手を取り手のひらの甲に口付けた。
「名前ちゃん、おやすみ良い夢を」

そう言ってダイゴくんはボールから再びエアームドを出し飛び去ってしまった。
まさかの行動に呆然としてしまいダイゴくんにおやすみと返すことが出来なかったがそれよりも。
手のひらの甲にダイゴくんの唇の感触と熱がまだ残っていてどうすればいいのかわからない。
昔チリちゃんがふざけて私の手のひらの甲にキスをしたことがあるけどそれとは違う感覚に私は驚きを隠せないでいる。まぁ異性と同性だから違う感覚になるのは当たり前かもしれないけど。
口付けられた手のひらの甲をもう片方の手でそっとなぞる。
さっきのダイゴくんの行動が嫌だったわけではない。なんというか心臓がドキドキして止まらないし顔が熱くてたまらない。

「…やっぱり好きなのかなダイゴくんのこと」
ダイゴくんに告白されたり手のひらの甲にキスされたりしたから錯覚かもしれないけど引っ越しした後もダイゴくんのことを考えたりしていたことは多かったし好き、なのかもしれない。
でもこんな簡単に好きだと答えを出してしまっていいのかと悶々と考えていたが心配してボールから出てきたパーモットに止められ部屋に入るよう促されたのは私とパーモットだけの秘密である。


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