見つめた代償

おやすみなさいと言い、眠っていたはずなのにふと、目が醒めてしまった。
私の隣には規則正しい寝息を立てて眠るワタルさんがいて、眠っていてもかっこいいなぁと起こさないようにジッと見つめた。
ワタルさん、意外とまつげが長いんだ…と新たな発見をしたりワタルさんの寝顔を見られるだなんて幸せだなぁと感じた。
あまりワタルさんの顔をじっくりと見るのは恥ずかしく、こういう機会でないとじっくりと見えないので良いな…と思う。
しばらく見惚れていると、ワタルさんの瞼が開き困ったように笑う。

「…あまり真剣に見つめられると恥ずかしいんだが」
突然のことで驚きながらも言葉を出そうと口を開く。
「…ごめん、なさい」
まさか起きていただなんて思わなかった…。
気まずさと恥ずかしさで布団で顔を隠そうとするも阻止される。

「…隠さなくても良いじゃないか」
「忘れてください…恥ずかしい…」
見つめる以上に恥ずかしいことをしたのに、と言われ私は顔全体に熱さを感じた。顔が赤くなっているのを隠そうにもワタルさんにはバレていて隠す前に顔まで真っ赤、と微笑まれる。
「…あまり意地悪しないで、ください」
「…そんな表情されるともっと意地悪したくなってしまうよ」
ワタルさんは目を細め怪しく微笑む。

「…それは、困ります」
ワタルさんから目を逸らし逃げようとするも身体をギュッと抱きしめられ身動きが取れなくなる。
どうしたら良いかわからず固まっていると、ワタルさんは私の耳元でわざと低い声で囁いた。
「…もっと意地悪してもいいだろう?」
急に囁かれるものだからビクッと身体が跳ね、変な声が出てしまった。
「ひゃっ、だっダメです!意地悪しないで!」
「そんな顔で言われると余計に意地悪したくなってしまうな…。でも、これ以上意地悪すると君に嫌われてしまいそうだから止めておくよ」
ワタルさんはそう言い、そっと私の頬にキスを落とした。
「続きはまた後日…だな」
そう呟き、緩く私の身体を抱きしめ直し頭を撫でる。
頭を撫でられているとなんだか安心し眠たくなってきてしまった。
私が眠そうになっているのに気づいたワタルさんは、おやすみ、良い夢をと呟き優しく微笑んでいた。

その優しい声を聞きながら私は眠りに落ちるが朝、目が覚め夜より恥ずかしいことが起こることを私はまだ知らない。


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