君との関係性


私と白石蔵ノ介は友達以上親友未満という言葉が当てはまるのであろう。何故親友未満かと言われると忍足くんみたいにすごく仲が良いわけでもないし恋人未満という表現は私自身が納得いかないからだけなのだけれど。

彼との出会いは中学時代で委員会が一緒になり話も趣味も合い仲良くなった。それからなんやかんや縁があって大学生になっても仲良くさせてもらっている。

流石に学部は一緒じゃないけど週に2、3回くらいご飯を一緒に食べたり勉強をしたりして過ごしている。友達から本当に付き合ってないの?と度々確認されるが付き合ってはいない。
じゃあ意識したことはあるのかと言われるとそれはある。
高校時代にしつこく男子に付き纏われて困っている時に白石くんが助けてくれてその後の私のメンタルケアまでしてくれて白石くんを好きになりかけそうになった。でも白石くんは誰にでも優しいし私には友人という関係性を望んでいるだろうと思い必死で好きになりそうな気持ちを消した。

白石くんが私をそういう目で見るわけないじゃんと思うたびにズキリと胸が痛んだけど次第とその痛みにも慣れいつの間にか白石くんに対して好きだなっていう感情が薄れていったが高校卒業の時に苗字呼びやなくて名前呼びしたいとお願いされた時は動揺しそうになった。しかし大学に入り2年経つと意外と慣れて今では動揺せず接することが出来ているので私も成長したなと思った。


ぼんやりとそんなことを思いながら講義を受けていると横から友人が講義終わったよと教えてくれた。お礼を言い、お昼どこで食べるか相談しているとメッセージアプリの通知が鳴った。
誰だろうとスマホを確認すると相手は私がさっきまで考えていた人物、白石蔵ノ介であった。

内容を確認すると14日の日曜日一緒に出かけへん?というお誘いであった。
14日って確か白石くんの誕生日ではなかっただろうか。
返信に悩んでいると友人がどうかしたのかと尋ねてきたので素直に白石くんから遊びに誘われたということを伝えると友人は名前に気があるんだよとにやにやしていた。

「4月14日、白石くんの誕生日なんでしょ?誕生日に名前を誘うってことはもうそういうことだよ。素直に誘いにのっちゃいなよ」

「いやでも…」
私が渋っていると友人は私のスマホを取り勝手に日曜日は予定がないから大丈夫だよと返信を返してしまった。

慌てて友人が送ってしまったメッセージを取り消そうとしたが既読となっていたため消すに消せなくなってしまった。

「いつものように過ごせば大丈夫だって!白石くんが誕生日だからって余計な気を張らないの!」

「そうかもだけど…。プレゼントは用意した方が良いのかな…」

「そりゃあ用意してたら喜ぶでしょ」
勝手にメッセージ送信したし一緒にプレゼント考えるよと友人に言われ安心する。
お昼は大学内にあるカフェでとることにし食べながら白石くんのプレゼントについて考えよう。
良いプレゼントの候補が浮かぶといいなぁ…。



そして4月14日、白石くんの誕生日当日がやってきた。
いつもより綺麗めな服装で軽く髪も巻いてみた。
髪の巻き方も友人から教えてもらい綺麗に巻くことが出来て本当に良かった。
リップは春らしく薄桃色のリップにして出かける前におかしなところがないか入念にチェックを行う。
あれからプレゼントも選んで用意出来たしいつも通り過ごして渡せばいい。
友達があんなこと言うから変に意識してしまう。
今日一日心穏やかに過ごせたら良いんだけど。

そう思い深呼吸して白石くんと待ち合わせをしている場所へと向かった。




早めに待ってようと思ったけど案の定、白石くんの方が早く待っていた。
「やっぱり早いね、白石くん」

そう声をかけると白石くんは少し驚いたようであった。普通に声をかけただけなんだけどなぁ…と思っていると白石くんが慌てて口を開いた。

「今日の名前の雰囲気がいつもと違うからびっくりしてもたわ。あと俺から誘ったんやし待たせるん悪いと思ってな」

「ありがとう、友達からヘアアレンジ教えてもらって試してみたんだ」
平常心でそう返してみたけどやっぱり気合いが入っているように思われただろうか。それか似合ってなかったのかな…と不安になっていると自分の誕生日に可愛い名前の姿見れて嬉しいと白石くんが言うものだからびっくりしてしまう。

「えっ、あっありがとう…なんか照れる」

「もう誕生日プレゼント貰った気分や、おおきにな」

「いや、気が早すぎでしょ!もう白石くんたら急にボケるんだから」

「えっ、ボケてへんけど?」

「嘘でしょさっきのボケてないの??」
じゃあさっきの白石くんの発言の意味って一体…。

「あー、あんなほんまは帰りに言おうと思っとんたんやけど…俺な高校の時から名前のこと好きだったんや」
色々アプローチしてきたつもりやけど名前、俺の気持ちに気づいてくれる様子がなかったから今年は賭けに出ようと思ったんや…と白石くんは胸の内を明かしてくれた。

名前呼びをお願いしたのも自分の気持ちに少しでも気づいて欲しかったからだったらしい。
白石くんの想いを知り、じゃああの時に私も素直に白石くんの気持ちを受け取って気持ちを伝えればこんなにも悩むことなかったんだ…と少し複雑な気持ちになる。

「…実は、私高校の時の男子に付き纏われてた時に助けてもらった辺りから白石くんのこと好きになりかけてて、でも白石くんが私なんかそんな対象で見るわけないよねって思って諦めたんだよね。今思うとなんだろう馬鹿らしいよね私」
私は好きにならないようにしてたのに白石くんは好きになってもらおうとしてるのに気づかないだなんて。

「ねぇ、白石くんの気持ちに全く気づいてなかった私で本当に良いの?」

「もちろんやで。でなかったらわざわざ誕生日に一緒に過ごしてくれん?や言わん」
優しく微笑むけど少し照れくさそうにしている白石くん。
こんな白石くんを見るのは新鮮でなんだかとても可愛くて愛おしく感じてしまった私はこんな私でよければよろしくお願いしますと自然に答えていた。
自分自身でも驚いたけどそれ以上に白石くんが驚いているのに可笑しくて笑ってしまった。

「えっ、ほんまにええの!?これ夢やないよな…カブリエル…」

「夢じゃないよ白石くん」

「ほんまにえぇ誕生日や…最高や…」
来年、いやこれからも誕生日一緒に過ごそうなと最高に良い笑顔で言われ心拍は上がるは頬から耳まで熱いので真っ赤になっているんだろう。
無意識になのか意識的なのかわからないけど心臓に悪いからほどほどにして欲しいな。

「名前、顔真っ赤やな」

「誰のせいで…プロポーズもどきみたいなこと言われたらそりゃ顔も赤くなるよ…」
白石くんに好きだって言われた次にプロポーズもどきみたいなことを言われるんだもん仕方ないじゃん。

「えっ、プロポーズもどき…?」
白石くんの反応的にさっきのは無意識だったのだろう。今度は白石くんが顔が真っ赤になっている。

「いや、さっきのはプロポーズのつもりでなくて…いやでも名前と結婚したいなって思うからええんか」
自分自身の中で納得したのかすぐに白石くんは冷静さを取り戻し、プロポーズはまたその時に伝えるから楽しみにしとってと笑顔を見せた。

付き合ったばかりなのにプロポーズの話をするとかスピードスターな忍足くんじゃないのにとそっと笑ってしまった。
でもそれだけ白石くんが本気なんだってことがわかってとても嬉しい。
白石くんが誕生日なのに私が誕生日プレゼントをもらった気分だ。

あぁそういえば、友達と一緒に考えて選んだプレゼント渡さないと。
プレゼントを考えている時や渡す前は気が重かったのに気持ちが通じ合ったからか自信を持ってプレゼントを渡せそうである。

白石くん、と呼びお誕生日おめでとうと言いながらプレゼントを渡せばまた白石くんは驚き嬉しそうに笑うのであった。

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