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ブリテンでの出来事は報告書を読んだだけでマシュや藤丸くんのように私は深くは関わってはいない。
だから彼のことはよくわからないなぁ…という印象だった。

だが彼がカルデアに召喚され彼を、オベロンを見た瞬間、昔の私の友人に似ていると思い、うっかり呟いてしまったためかオベロンはちょくちょく私にちょっかいをかけるようになっていた。
それが嫌がらせなのかただの交流なのかはわからない。
それは彼にも私にもわからないけど、私はこの距離が好きだなと感じている。
確かオベロンに似ていると感じた友人もこんな感じで仲良くなったような気もするな。
遠い昔を思い出し懐かしさを感じていると彼が姿を現した。

「顔が緩んでいて気持ち悪いな」
そんなに俺に会えて嬉しいわけ?と心底嫌そうな表情をするオベロン。
「そうね、会えて嬉しいよオベロン」

「俺は嬉しくないね」
苦々しく言葉を吐きながらも私が座っている椅子へと近づいてくるオベロンがおかしくて顔が緩んでしまう。
あぁこのままだと怒られてしばらくは会ってはくれないかも…と思った私は表情を直し口を開く。
「紅茶でも飲む?マシュからおすすめの紅茶を貰ったんだ」

様子を伺いながらオベロンを見つめれば彼はチッと舌打ちをしながらも私の前にある椅子へと座ってくれた。
私は席から立ち上がろうとし、もう一つティーカップを取ろうとしたのだがオベロンはそれを制止した。
ん?と首を傾ける暇もなく彼は私が飲んでいたティーカップを持ち、一口紅茶を飲んだ。
「えっ」
「…まっず、君紅茶の淹れ方下手くそじゃない?」

私、紅茶の淹れ方下手くそなのか…と凹むより先に突っ込みたい所があるけど突っ込む間もなくオベロンは去って行ってしまった。

色々と言いたいことはあるけど、まさか間接キス紛いなことをされるとは思わなかった。
彼的には待つのも煩わしかっただけなのだろうけど。
私にはダメージが大きいなぁ…。
今度からオベロンと顔を合わせるの気まずいじゃん。
はぁ…とため息を吐き、この紅茶どうしようかと考える。
別に深い意味なんてないんだから全部飲み切ってしまえばいい。
でも間接、キスなんだよなぁ…。
頬がほんのりと熱くなるのを感じ、私は…。




初めて彼女を名前を見た時、気に食わないなぁと思った。
俺を見た瞬間、彼女は俺ではない誰かを思い浮かべて似てる…と呟いたからである。
そこから何故かわからないが彼女を見るたびにちょっとした嫌がらせをするようになった。
しかし彼女はそんな俺の嫌がらせを気にするわけでもなく他のサーヴァントと接するように俺にも接した。
だが俺と他のサーヴァントで違うことが一つある。
彼女は俺ではない誰かを思い浮かべて俺と接している。
それが誰かなんてどうでもいい。
どうでも良かったんだ。

でも心のどこかで気に食わない、俺を俺として見て欲しいと思っている自分がいる。
なんなんだ本当に。
本当に気に食わない奴だよ君は。

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