少しずつ変わる日常1
 
エルがヴァリアーに身を置き数ヶ月。特例の仮入隊という措置をとられ、保護したスクアーロが教育と世話をすることで落ち着いた。
スクアーロのみならずルッスーリアや同年代のベルが教えることで短期間で多くの言葉や知識教養を身に着けた。世間知らずだったエルは、まだ世間とズレることはあるものの精神年齢がかなり実年齢に近づいたと思える。

だが

「ベル兄あーそぼ!」
「う…悪い。俺今日任務」
「任務…みんな任務ばっかでずるい!エルも行きたい」
「遊びじゃないよエル。僕らは仕事なんだ」

甘え盛りのエルには人が代わる代わるいなくなるのが不満のようでよく駄々をこねた。ヴァリアーの本質的な事を理解していないエルを連れて行くことは出来ない。彼らは任務時間まで宥め時間が来れば行かなければならなかった。

「スクアーロは?」
「長期任務でイギリスに行ったよ。いいなぁお城見たいな」
「あ、やべ時間」
「もう行くよエル」

えーと不満の声を上げるとルッスーリアが現れ小さな体を抱き上げベルとマーモンに手を振らせた。二人の姿が見えなくなると床に降ろされ不満そうに見上げる。

「ルッス姐とお勉強しましょ?」
「ルッスねぇとは飽きたからザンザスのお部屋行くー」
「ちょ、大丈夫なの!?」
「もう3回も一緒にお勉強してるよ」
「勇者だわ…」

たっと走り出したエルの背中を見つめルッスーリアは嘆息した。


エルはザンザスの執務室の扉を三度ノックして元気よく名前を言った。すぐ扉に耳を付けて中の音を聞くと低い声が返ってくる。それは了承の言葉ではなく「邪魔するな」という不機嫌な声だったがエルは気にすることなく扉を引いた。

「こんにちはっ!ザンザスはまたしょるい?」

他の者が聞いたら卒倒しそうな口調でエルはザンザスが向かっている机に駆け寄り手元を眺め、むぅと口を膨らませる。
並べられている書類はボンゴレ上層部に送られる機密情報。本来ならば子供が悪戯にでも見てはいけない情報である。エルはすでにこの部屋で見たものは他言しないよう言いつけられているが、まずエルには理解出来ていなかった。

「読めない…今度は何語?」
「英語」
「英語はちょっとわかる!A was an applepie!(ア―はアップルパイ)B Bit it!(かじっちゃった、それ!)―」
「うるせぇ」
「はぁい…」

C Cut it..(切ったよ…)とマザーグースの歌を呟きながらソファーに座り本を広げる。
目下ルッスーリアと言語を中心に勉強しているエルはイタリア語の日常会話程度なら問題なく話せるようになった。読み書きを勉強しながら共通語である英語、そして周辺諸国の言語を幅広く学んでいる。
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