また一家が静まり返り───10時45分。
とある家の男はベッドで寝転びながらSNSを眺めていた。自分も入っているテニス部のグループラインは常に動いていて話に加わらなくとも笑みがこぼれる。

そんな中、突然部屋のドアノブが激しい電撃の音を立てた。

「……ほぉ、来たかの」

部屋の男は目を細め携帯を投げ捨て枕の下に手を入れた。ひやりと冷たいものが触れ確かにそこにあるのを確認する。
ドアノブは静まっていたがすぐガチャガチャと回り、バキンと折れた音がする。ノブが壊されたようでドアはゆっくりと開かれた。

「ドアノブに電流を流すなんて小癪な事をしてくれるわね、仁王雅治」
「…強さは失敗だったかの」
「いや?普通だったら気絶するんじゃない?」

私は普通じゃないけど、と握ったり開いたりする手の平は赤くはなっているがそれ以外の外傷はない。この異常さから仁王は「この女がテニス部大量殺人の犯人だ」と確信していた。女なのに、といった偏見は特にない。仁王は冷静に観察し、行動される前に枕の下から拳銃を取り出し、一切迷うことなく引き金を引いた。
だが、撃てたところで当たらなくては意味がない。銃弾はあっさり避けられ一瞬のうちに組み敷かれ逆に銃を額に突きつけられていた。瞬きすら許されないあっという間の出来事。

「これ本物じゃん。高校生がいけないんだぁ」
「っ銃なんぞ今の時代どこからでも手に入るぜよ」
「小賢しい男ね。…よし、仁王くん私とゲームしてみない?」
「……なんのゲームじゃ?」
「至極簡単な命を賭けたゲーム。負けたら殺す、勝ったら逃がしてあげる」

銃口をごり、と押し付けながら猫なで声で告げると仁王雅治は少し考えてから「その話乗るぜよ」と笑った。女は歓喜の表情を浮かべる。


「じゃあこうしよう」
「ぐッ…!?」

組み敷いたまま、女は仁王の首に注射器を突き刺した。逃げる間もなく何かを投与され、暴れれば女はすんなり避けて仁王から離れる。
投与されたものは分からないが…首筋が熱い。

「それは遅延性の毒。解毒しなければあと1時間で無残な死を迎えるわ」
「…ッいきなりは酷いのぉ」
「ゲームを与えるのはこの私よ。解毒剤はこのカプセルに入れてこの家のどこかに隠してる。見つけ出せば仁王くんの勝ち、死ねば私の勝ち…分かり易いでしょ?」
「ホントにな…!」

仁王は女の説明を聞くやいなや部屋を飛び出し解毒剤を探しに行った。タイムリミットとあと1時間…時間は有限だ。
階段を駆け下りる足音から動揺と焦りが伝わり女は可笑しそうに笑った。命を賭けたあまりにもアンフェアなゲームが始まる。

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