「え、あ!?待ってちょっと待って!!」


「……は?」

部屋から女子の高い声が聞こえ思わず固まる。弟2人がいるはずの子供部屋にはフリルスカートを履いた女子が梯子に登って天井になにかを吊るしているところだった。誰だ、コイツ?

「もうちょいってとこで来るとかさー計算違いだったかな。でもこれでお終い。結んで…はい、おっけい♪」

女子が梯子から飛び降り、俺のところまで駆け寄ると傍の電気を押した。パッと部屋が照らされる。
……そこは地獄絵図絵だった。
弟の子供部屋には血まみれになった絨毯、散らばる血みどろの刃物、天井から吊り下がっている弟たちの腕、脚、胴体、顔、体の中身もろもろ…


「兄弟は天井に吊るしたし、時間あればご両親は床に敷き詰めたかったんだけどな〜そう上手くはいかないね。でも芸術的に仕上がったでしょ?ねぇすごくない?ねぇ…丸井くん」

絡みつくような声が耳元で囁く

「ねぇどんな気持ち?可愛い弟たちがバラバラアートにされるってどんな気持ち?悲しい?怖い?殺したい?言ってくれないと分かんないよ」

殺したいに決まってるだろぃ。
ふつふつと腹から熱いものがこみ上げてきて体が燃えるように熱い。バラバラになった兄弟。殺された親。この女も同んなじようにしなきゃすまねえだろ!そうだ、そこにあるチェーンソーで…!

「喋んないならいいや。あんたもオブジェにしてあげる」

ギュイイイイイインと耳元でつんざく音がして、体が軽くなる。熱くなる。体を見下ろすと左腕が消えてた。

「う、おおおぉぉお!?なっ…」

「それもういっちょ」

次は右足が付け根から斬り落とされた。
体が支えられなくなり床に倒れる。熱い熱い熱い熱い熱い熱い でも何故か痛みはそれほど感じない。いや痛い痛い痛い痛い痛い痛い。
床を転げ回ると女に腹を踏みつけられ身動きが出来ない。睨みつけるように見上げると女はチェーンソーを構えてニタニタと笑っていた。やばい、終わらない。


「夕飯に薬を混ぜたから痛みは小さいでしょ?丸井くんはね"ダルマ"にするの。元々ダルマって女性を慰み者として使ったり四肢切断しても死なない女の生命力を崇めたりするみたいだけどーー男だけどまぁいいよね。ほら人間ってけっこう頑丈みたいだし?」
「いや…だ…」
「丸井くん胴体太いし髪も赤いしドロドロ血塗れ真っ赤なダルマにはぴったりだよ」
「いやだ…!」
「キャッハハハ!いい声で叫んでね!」

チェーンソーを振り上げられ一気に右腕と左脚も切断される。俺の腕が…脚が…!ラケットを握るための腕が!コートを走るための脚が!クソッッ!!

「…筋肉つき過ぎ硬い。弟くん達は子羊みたいに柔らかくてかるーく切断出来たんだよ?」

ーーーその言葉で俺の中の何かが焼き切れた気がした。

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