「駄目だよ深司、私のこと話しちゃ」
「…すんまそん」

≪人類最高≫がいないとある一室にて、≪人類最美≫闇口夜魅と石凪深司は向かい合っていた。いつもの分かりやすく上下関係を示す段差の上からでなく、同じ高さで同じに椅子に座り2人は対面していた。それは誰よりも闇口夜魅と対等であることを表している。彼に≪人類≫の称号はついていないがお互いを呼び捨てにすることから、2人の距離の近さは分かるだろう。
実際闇口夜魅は石凪深司以外呼び捨てにする者はいない。絶無だ。

「私のことを知るのは深司と≪人類最高≫だけか」
「何で俺を残したんだよ…面倒だなぁ。最初何も言われずびっくりしたし」
「あはは、何でって深司だから」
「……………何だよ、それ。何なんだよ本当に変に期待させてそんな気ないくせに…」

ただし訂正を入れれば2人の間には若干のすれ違いがある。夜魅にとって深司は信頼できる者で親愛を持って接している。しかし深司は初めて会った時から好きで、惚れていて恋慕の情を抱いている。すれ違っている。
ネタばれをしてしまうと、夜魅は決して深司を愛さない。親愛であって愛情ではない。そもそも彼女の中には現在"復讐"が渦巻いていて優しい感情など捨てている。復讐、恨み、怒り…今の彼女を突き動かすのはそれだけ。


「それにしても、やっとだよ深司」
「…復讐が?」
「そう!やっと果たせる!」
「今までの青学、比嘉、四天宝寺、六角、氷帝、聖ルドルフ、山吹、不動峰は?」
「ほとんど関係ない!」

やっぱりと深司はため息をつく。夜魅の過去を知るから復讐の動機も理解出来ている。彼女を辱めたアレは性格を歪め裏世界に沈めた。あの過去がなければ夜魅はきっと闇口にならず今頃輝かしい人生を歩んでいただろう。だから復讐は必須。罰せられるのは当然。

彼女は悪くなく、彼らが悪い。


「うふふ…ご覧になってる皆は次がどこだか分かるね?」

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