「鉄…お前…」
「ち、違う!俺は、襲われたから!」
「京介が…?」
「そうです!いきなり…お、俺は、何も」

石田鉄はその場に座り自分の手を見た。血で汚れたラケットと違いその手はきれいだったが、内村京介の頭は握りこぶし大に陥没していて…生きているとは、思えない。

「…深司と辰徳を探してくる」
「俺も行きます橘さん!」

正直、鉄といたくなかったというのが神尾の本音である。殺したいと思わなくても興奮状態で再び間違いが起きるかもしれない。だからと言ってここに残す訳にもいかず殺人犯を含め3人で歩き始める。

「きっと2人は大丈夫だ」

祈るように呟いて探すと幸運にも辰徳と合流出来た。少し錯乱してるが無事。あとは深司だけだと後ろを見ると―――深司が、立っていた。輝くなにかを持って。

「深司…!?」
「はー本当面倒だよなぁ。彼女も彼女で酷いしさ」

ヒュンッと風が横切る。
振り向くと辰徳の首が、飛んだ。

「ヒッ!?うわああああ!!」
「ま、惚れた弱みだよな。しょうがないや【記憶持ち】は俺くらいだし」
「神尾、鉄!逃げろ!」

腰を抜かしながらも神尾は這いつくばって部室の方向へ逃げる。
橘さんが囮になっているのも気付かず。

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