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咎凪虎次郎により裏世界に情報を発信されて数日。
東京都氷帝学園テニス部レギュラーである日吉若と忍足侑士にもメールが来た。お互い内容を見て、分かりきっていたものでも眉を寄せた。
「物騒な内容やな」
内容は青学に送りつけられたものと同じ【仲間であるテニス部を皆殺しにしろ】という命令
「けど≪人類最美≫の言うことだろ」
「日吉は彼女に惚れとるからなぁ」
「なっ!?」
「A−!日吉誰が好きだって!?」
むさ苦しい空間に珍しく転がり込んできた恋話にさきほどまで寝ていたはずのジローが反応し飛び起きた。さらにジローの声に岳人が便乗し…いつの間にか部員のたいはんが集まり話を聞く体勢になってしまった。
興味津々というように輝いた瞳に日吉は心底嫌そうな顔になる。
「ハァ…忍足先輩のせいですよ」
「そりゃ悪かったな」
「侑士は知ってんのか!?」
「まぁ一応な」
教えろー!と騒ぎ立てる仲間たちにしょーがない、というようにため息を吐く忍足侑士。
――否、 闇口侑士 は岳人に近付き、剣を腹に沈めた。
「あ…ゆーし?」
「すまんなぁ岳人」
差し込まれた剣を引き抜きトン、と軽く肩を押すと抵抗できずに仰向きに倒れる岳人。
腹部から流れる鮮血はあっという間に高価なカーペットに広がり、見慣れない血の量と切り口を見て誰もが目を逸らした。
「テメェ…!何のつもりだ忍足!」
「マスターの日吉こと零崎京識様の願いやからなぁ」
「俺じゃないだろ」
「せやった。≪人類最美≫や」
クルクルと短剣でも長剣でもない大きさの…ティンぺーと呼ばれる武器を回して言う闇口侑士。その後ろで同じティンぺーを持ち腕を組んでる零崎京識。
仲間を見る目つきはもはや仲間を見ておらず次の獲物を品定めするもの。
「チッ…逃げるぞお前ら!」
「お、おう!」
さすが跡部と言うべきか、一瞬で判断し部室を出て行く。
それに宍戸、鳳、樺地が続く。
部室に残されたのは裏世界の2人 零崎京識 と 闇口侑士。そして死体の向日岳人と一歩も動かないジロー
「逃げないんですか?殺しますよ?」
「んーなら殺して欲しいしC−」
頬をかきながら困ったように言う。
零崎京識は眉をひそめ近づく。
―――例え殺しになれているとはいえ、目を見て殺すのは辛い。仲間なら尚更。
もう昔に押し殺してしまったはずの殺す苦しみの心が疼いたがそれを振り払うように頭を振りティンぺーを持ち上げた。
「一瞬で終らせます」
零 崎 を 始 め る ぞ
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