「私の命令を聞かないからよ」

氷のように冷たく言い放った夜魅は足元にいた少年とも男性とも言えない男を足蹴にした。
高いヒールでワザと痛いだろう位置を執拗に蹴るがされるがままの男は悔しげに唇を噛み何も言わないでいる。もし口答えすれば、首が飛ぶかも知れないのをわかっているからである。ちなみにこの男は現在夜魅が標的とするテニス部の者でも裏世界のものでもない。どこにでもいる平凡で善良な一般人だ。
何故この男がこのように蹴られ続けているのかは夜魅しか知らない。憶測で言うのであれば≪人類最美・闇口夜魅の機嫌を損ねた≫からだ。

「もういいわ。私は優しいから許してあげる」

ガッと最後に一蹴り。頭を蹴り鈍い音がしたので気分が良くなったのか足を下げしっしっと追い払うように手を振った。
傷だらけになった体を引きずり男は出口へと歩いていく。

「あー楽しかった」

玉座に座り直した夜魅を見て、静かに本を読むふけっていた≪人類最高≫は閉じ本をサイドテーブルへ投げた。
そこには本への愛着はなくただ暇潰しのためだけに読んでいたことを伺わせる。

「何故あの下賤は遊ばれていたのだ?」
「ふふ、アレが遊ばないかってナンパしてきたからですよぉ。特別に私が遊んであげてたんです」

優しいでしょ、と笑う夜魅に≪人類最高≫は苦笑する。

「私の夜魅は傲慢だな」
「そうですかぁ?まぁ上に立つ者ほど傲慢で尊大で我が儘あるべきですよ」

「その通りだ」


≪人類最美≫の言葉に≪人類最高≫は嗤った。


【六角高校】
正者:
死者:葵剣太郎、黒羽春風、天根ヒカル、樹希彦、木更津亮、咎凪虎次郎


2013.02.01

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