10分たった。毒の効果によってウトウト眠そうにする先輩らに立てずにいる白石さん。普通ならこんな集団がいっせいに眠くなるんやったら疑問に思うはずが皆頭が働かなくて睡魔に抗おうとするだけ。一応混乱作用も働く毒混ぜといたし問題はないやろ。
「すまんな。眠い…」
「俺らもや…」
「千歳さんはもう寝とりますわ」
ふらふらしとった白石さんも耐えきれずイスに座った。
「財前は…眠くないん?」
「平気ッスわ」
「そっか…」
カクンと首が落ち全員が寝た。全員が死んだ。苦しまず静かに死ねたやろか。残念ながら死んだことない自分はこの毒がどう殺したのかも分かっとらん。
…ほんま苦しくなかったやろか…
「ま、しゃーないっすわ」
自分に言い聞かせるようにして立ち上がる。すると突然ドアが内側に開き、外に行き元気になった金ちゃんが戻ってきた。
当たり前やけどミーティングをしてるはずの全員が眠りこけていて驚いている。死んどるなんて分からんやろなぁ。
「皆どうしたん!?財前、何で皆寝とるん?」
「金ちゃん…」
「もしかして気分悪いんか!?大変やー!!」
チラリと開け放されたドアを見る。開け放たれたままのドアからは毒が流れ出し薄くなり、消える。そうや金ちゃん。金ちゃんも殺さなあかん…人類最美が望むんは全滅。何よりも惨たらしく殺すのを好む。
自分は手に“毒”を持つ。
それはさながら毒手のよう
「金ちゃん…」
ポン、と頭に手を置いた。
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