「…ま、しゃーないッスわ…」
大阪府四天宝寺高テニス部。
レギュラーである財前光は深い溜め息をついた。電話の主はその溜め息を聞いて嬉しそうにクスクス笑う出した。
笑うなよ、と心で毒吐くが反抗しても数十倍になって返るだけだと知ってるから何も言わない。
≪うふふ…お願いね?≫
「ずいぶん慣れた説明やしたけど他でもやったんですか」
≪ええ、青学と比嘉でね≫
「………」
≪で?何も問題でも?≫
「いえ……何もないッスわ」
そ、じゃあ楽しませてね
鈴のように声を弾ませて言うとブツリと電話が切れ無機質な音だけが残る。
ツーツーツー
嗚呼、別に何とも思っとらんよ俺は。裏世界の人間やし? そう言い聞かせても頭は重くもやがかかってるみたいや。
「おー財前いたいた」
「ウザいです。消えてください先輩」
「な、俺何もしてないやろ…!」
なんやまだ昼休みの途中やった。それに気付くとクラスの賑やかな声が聞こえ始め頭も冷えて落ち着いてくる。強く握っていた携帯を閉じるとパン!といい音。謙也さんがビビった。
「何や、機嫌悪いなー」
「気のせいです」
「白石が今日はミーティングあるから会議室に集まれって言っとたわ」
「……………」
急に黙ったので名前を呼ばれるが視線を外にやった。
「…ちょうどいいッスわ」
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