匂宮永四郎が部室につくと逃げようとした知念、平古馬、甲斐とはち合わせる。
警戒から握られているトンファーを見て恐怖へと塗り替えられた。ここにいる全員は永四郎に"武術の天才"として集められたが…誰よりも強く天才だったのは永四郎だ。
部活や修行でそれを嫌というほど見てきた。
自分こそが天才という自信も粉々にされた。


「永四郎!」
「ッチ…もう来たさー!」
「3人とも逃げるのが遅いですね」

ため息をついて再びトンファーを構える。


「いきますよ」
「裕次郎、知念ひぃぎれ(逃げろ)!」

振るわれたトンファーをギリギリで掴む平古馬。
それを横へ流すように投げ飛ばすが絶対のバランス感覚を持つ永四郎は崩された体勢のまま攻撃を繰り出す。

「ぐッ…!」

掠ったトンファーが焼けるように熱い。
平古馬は一瞬後ろを見て二人が逃げたのを確認した。大丈夫だ、知念もいれば遠くに逃げられるさ。あわよくば警察でも呼べる。

「…ふむ、平古馬くんコレを使いなさい」
「な!?」
「あまりにもつまらないのでね」
「馬鹿にしやがって!!」

足元に投げ捨てられた黒々としたトンファーを構える。
武器を構える一般人
素手で佇む殺し屋

例え何があっても一般人は勝てない


「ハァ!」

正拳突き、裏拳、ヒジ打ち、受け技が全て素手に流され永四郎には掠りもしない。息も乱れてない。攻撃防御併せ持った武器のおかげで防ぐことができたがこれでは何も進まない。
それは永四郎も思ったらしい

「困りましたね……おや、」

「凛大丈夫か!?」
「ばっ 裕次郎なにしに…ッ」
「残念。大丈夫ではないですね」

平古馬くんの身を心配して助けに来たんでしょうね。ですがこの機会を利用させてもらいます。
ずっと手加減し続けていた永四郎は後ろを向いたままの平古馬の首に腕を回し固定する。しまったと言うように息を飲む音。
そのまま捻ればポキンと軽い音がして平古馬凛は息絶えた。…何て呆気ない。

「り、ん…?」
「知念君は逃げられてしまいましたね。それに比べ甲斐君は…」
「ゆくしやっさー…(嘘だ)」

呆然と佇む甲斐くん。
このまま逃げなければいいものの状況が把握出来ない様子を見て永四郎は呆れトンファーをしまった。


「知念君はゆっくり探しましょう。それでは甲斐君…」


さ よ う な ら

ドガッ!

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