部室から出てきたのは周助こと零崎唯識。
そしてその奴隷の闇口リョーマ。
武器は仕舞われ返り血一つないその姿はまるで部活の先輩と後輩が一緒に出てきたようにしか見えない。閉ざされた部室の中がどのようなことになったか、見えないから。

「リョーマは桃城、乾を」

「Yes My master…」

唯識の言葉にリョーマが跪くと一瞬で唯識は消え、リョーマも主の命令通りに桃城と乾の元へ向かった。
手塚たちが逃げたのは僅か10分前。普段から鍛え体力がある彼らとはいえただの一般人。追う者は殺し名で名高い零崎と闇口。
すぐにその背中は見えてしまう。


「越前!お前…どうしちまったんだよ!」
「桃先輩、もう俺は“闇口リョーマ”ッスよ」
「意味が分からないぞ…」
「あるのはマスターだけ、意味は必要ない」

振り上げたのは大石を刺したのと同じ装飾の短剣
柄に飾られた鉄鈴がシャランと鳴る

掲げられた剣に浮かぶのは刺された大石で、命の危機を感じた桃城と乾は叫びを上げながらがむしゃらに走り出す。
しかし背を向けるのは死に等しい―――いや、何をしても死に向かうだけだが


「 さよなら、先輩 」

ザク  ブシャッ


彼らから逃げ切ることは出来ない。

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