お茶会で繋がった縁


──よ、よく分からない事になった。


曲識兄さんのいる「クラッシュクラシック」で過ごした次の日、私の通う水仙ヶ丘女子高校に一つのビックニュースが訪れた。
それは、「澄百合学園からのお茶会の招待」 なんでそんな事がいきなり開催されるかは分からないけど、とにかく先生生徒てんやわんやの大騒ぎ。それもそのはず。澄百合学園と言ったら京都一の名門女子進学校で上流階級専門学校と呼ばれるところなのだ。なによりも偏差値と門地門閥が重視される一般人には雲の上の存在……から招待を受けている。生徒は一度は行きたいし先生も誰を行かせるか会議している。

そして──私が選ばれた。



「…?…ぇ??」

え、いやだから分からない。なんで私?今の流れでどうして私に来たの?
先生に「頑張れよ!我が校の品格を落とすのだけは避けてくれ!いや出来れば上げてくれ!」と肩を叩かれたが、今の私はクエッションマークしか出てこない。渡された(高級感溢れる)招待状なる手紙すら現状が飲み込めなくて開けない。周りからはいーなーと羨望の目を向けられている。変わってあげたいくらいです。
…なんでも招待されたのは全校の中で10人だそうだ。倍率はとんでもなく高いけど私の他に9人いるって思えば少し気が楽に……


「(なるか…っ)」

今からもう嫌な汗しか出てこない。



*****


そして、時間が経つのは早いもので、あっという間にお茶会の日が訪れた。
いかにもな高級車が水仙ヶ丘高校にやって来て招待された10人を乗せて否が応でも連れて行く。他の人は皆賢そうで凛としていたけどやっぱり緊張はしていた。そして……到着。

「うわぁ……」

さすが由緒正しき高貴なお嬢様が通う上流階級の学校。
目のくらむような"お嬢様"の雰囲気に圧倒される。コスモスが咲きみだれる庭にある真っ白なテーブルクロス、お菓子の数々、紅茶。女の子が一度は夢見る素敵な光景だけど心臓がばくばくいってそれどころじゃない。


「ごきげんよう。澄百合学園代表の萩原子荻です。今日一日楽しんでいってください」
「ごきげんよう萩原さん。私は桜井桜湯です。短い時間ですがよろしくお願いします」

緊張はするが、実際私たちがすることはお茶しながら話すことだけ。大丈夫気負う必要はない──思ってたら分かれたグループで代表の萩原さんと同じになった。嘘でしょ…。


「緊張なさらずに。紅茶をどうぞ」
「ありがとうございます……あ、美味しい…」
「お口にあって良かったわ」
「アッサム…ですか?」
「そうですわね。ニルギリとブレンドされてるわ」

たぶん茶葉がいいんだと思う。曲識兄さんも紅茶入れるのうまいけどそれより香り高い。
いやお菓子もすごい。銀の三段ケーキスタンドの中は上からウィーン菓子の生クリームを添えたザッハトルテとクグロフ。ドライフルーツの入ったスコーン。小さめにカットされたサンドイッチ。
スコーンなんてサックサクで本当においしい。これがお嬢様…。ここにくるまで胃の調子がよくなかったけど、それさえ忘れるくらい美味しかった。

「姫ちゃんこのケーキ食べるです!」
「一姫、普通は…」
「今回はいい事にしませんか子荻さん。お好きなものを選んでいいことに」
「そうですね」

正式な食べ方は下のサンドイッチから取るはずなんだけど、今回はどちらでもいいらしい。澄百合の方々はサンドイッを取ってる人が多いけど……私は欲望に負けた…。スコーン美味しそうだったから…。一応勉強してきたから分かってはいたよ。でも美味しそうだったから……。

その後もお嬢様とはいえどやっぱり女子。打ち解けて楽しくおしゃべりすることができた。ぎこちない時は身近なことを話し、女子らしい恋バナで打ち解けて、お嬢様の気になる"かっぷらーめん"で一番の盛り上がりを見せた。
慣れないことをして疲れてしまったけどなんとかこのお茶会の趣旨にそえたと思う。


「左紀幸織さん」
「どうしました?…萩原さん」
「これと言ったものはないですけど。有意義な話をありがとう」
「…ええ?私も大変勉強になりました」

去り際に澄百合学園代表の萩原子荻に声をかけられ少し緊張した。でも萩原さんはそれだけを言うと優美に笑って澄百合の人たちに紛れてしまった。
有意義な話?
何を話したっけ?

…ああ、そうだ。萩原さんには"家賊"について話したんだっけ。


お茶会で繋がった縁
 (思わぬ出会いは未来を蝕む)




*****
澄百合学園はご存知の通り「四神一鏡専属傭兵養成学校」ですが、今回は外面のお嬢様(として偽ってる)ていで書きました
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