殺人衝動ではないけれど


私は何故か殺人衝動が少ない
呼吸のように殺人を行う零崎にとって殺人衝動は必須条件。強ければ優れてるって訳じゃないけど…殺人衝動が強い人は"零崎らしい"と思う。舞織姉さんなんて特にそう。

私は逆に殺人衝動が少ないから普通に学校に通い平凡な日常生活をおくらせてもらっている。周りの人間は笑えるほど無防備で 死 なんて縁遠いもの。


でも、殺人衝動が皆無って訳じゃない。
たまには起きるしちゃんと殺す。あと止むに止まれぬ事が起きた時にとか──


「今みたいに…」
「えー何だってお嬢ちゃん?」
「お金払ってくれるってぇ?」

薄暗い夜道に下卑た大人の笑い声。
私は現在柄の悪いお兄さんたちに囲まれてお金をくれくれ、お金がないなら体で払ってくれと言われてるところ。一応言っておくけど私はなにもしていない。後ろに隠れている同じクラスのおさげの委員長が変な人たちに追われてたから助けようとしただけだったの。なのにいつの間にか人数が増えてわらわら湧いてきて7人に囲まれてる。こんなか弱い(?)女子高生相手に大人気ない。

「左紀さん…」

か細い声で名前を呼ばれ振り返ると泣きそうになってるおさげの委員長。うーんこんな危ない人たちに追われてる理由は分からないけど放っておくことも逃げることも出来なさそ うだし


「しょうがないなぁ…」

大丈夫だよって委員長に微笑みバッグの中に手を入れる。男たちも顔をニヤけさせたまま食いついてくる。財布を出すと思った? でも残念これでも切り詰めた生活してるからあなた達にあげるお金なんてない。あげれるのは…


「零崎をはじめましょう」

──鉛玉くらいかな。

バッグから出された手に握られてるものはSIGのP226e2 。男たちや委員長が反応する間も無くトリガーを引くとパンパンパン!といい音が夜道に響いた。しまった。サプレッサー付けてないから普通に音がなってる。E2のタイプって取り付けられたっけ?バラしていじってみようかな…それにしても…
E2すっごい撃ちやすくなっ「て、テメェ!」

「ん?」
「撃ちやがったこいつ!」
「よくも!!」

一気に殺気立つ柄の悪いお兄さん達。
残りは4人だけ。怒りで混乱してるのか私が銃を持ってることも忘れて一人金髪の人が突っ込んで来た。後ろの男が気付いて「バカ!」と怒鳴るがもう遅い。トリガーを弾けば綺麗に心臓を貫き仰向けに倒れた。
うーん もっと動いてもらえると嬉しいんだけどなぁ…やっぱり銃は握らないと勘が鈍ってくる。これはかなり撃ちやすい拳銃だからいいけど。

…ちなみに扱っているのはP226E2

SIGが開発した自動拳銃。
弾はよくあるイタリアのFIOCCHIの9mmパラベラム弾、装弾数は15発。
P220シリーズとしてかなり多くの種類が作られてる有名作品で警察や映画やSIGファンの一般人にも使われているらしい。かく言う私もSIGファンの一人でベレッタ社も使うけどSIGの方が大好き。
だってトリガーがいいんだよね。シングルアクションもダブルアクションもハンマーが綺麗に落ちるから命中率も上がるし。もう撃っててベレッタと全然違う。長時間水に浸かっても動くという耐久性も高い。最近の世界の需要もSIG、グロッグ、スミスが主流かな…ベレッタは少ないかも。
あとは………


「よくも…よっちゃん達を!」
「やっちまえ!」
「生きて帰れると思うなよ!」

おっと…。ナイフや棍棒を取り出して襲いかかってる男たちを交わして再び撃ち込む。今から話のいいとこだったのに…。二人は上手いこと銃弾をかわし、私に飛びかかると思いきや後ろにいた委員長を人質に取りように抱え込んだ。あ…委員長腰抜けてるし簡単に捕まっちゃった。


「こいつを殺すぞ!!」
「………ううーん」

確かに銃出したのはこのお兄さんを殺すためではあるけど、別に委員長を助けるためにやってるわけじゃない。銃使う口実というか…だから委員長がどうなってもいいんだよね。というか最初っから───


「委員長も皆殺すつもりだったし」

へ?と気の抜けた表情の委員長に銃口を向け迷いなく引き金を引く。委員長はとても優しい人だった。輪から外れて一人でいる私にも良く声をかけてくれた。それには嬉しかったし今ではありがとうって言いたい。


「それでも私は零崎幸織」

「ヒ!仲間を殺しやがった!!」

「老若男女クラスメイトも関係なし」


パンパァン!
ドサリと倒れこんだ残りの2人を横目に素早く銃をしまう。一般人だけでこんなに時間かかっちゃった。音も随分出したからさっさとトンズラしちゃおう。

「………」

チャラい男達に紛れて倒れてる学生の女の子。

私は視線を引き剥がして家へと帰った。



殺人衝動ではないけれど
 (今日5時頃賀茂川付近にて複数の死体が発見され──)
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