碧霄の絵画 | ナノ
セブルス・スネイプ。
ホグワーツで一番恐れられていて、一番嫌われている魔法薬学の教授。
いくら外見が情報通りだったとしても、まさか、この人がリリーの幼なじみなわけないでしょう。そんなわけないわ。
ハリーと二人、一縷の望みを胸にリリーにこっそり手紙を書いて確認したら、聞きたくなかった答えが返ってきた。
“そうよ!よく分かったわね。でも、ジェームズやシリウスには、お願いだから言わないでね……あの二人ったら、セブルスのこととなると煩いんだから……”
ハリーとそっくり同じ「が」の文字を見て、この手紙は本当にリリーが書いたものだと念のため確認する。
「……まさか、スネイプがママの幼なじみだったなんて……」
「う、うーん…………でも、リリーの幼なじみってことは、本当は優しい人なんじゃないかしら?私達を甘やかし過ぎない為にわざと恐ろしい人を演じているとか………」
「僕に対する理不尽な減点や罰則も、僕を甘やかさない為のアイツなりの愛だって?そりゃあ、さぞかし優しい人だろうな」
「う、うーん……………」
確かに、スネイプ先生のハリーに対する態度は酷いものだ。今思えば、ハリーがスネイプ先生の悪口をジェームズ達にぶちまけているときの彼らの反応は半端じゃなかった気がする。
……もしかして、ジェームズ達とスネイプ先生の仲が凄く悪くて、ジェームズによく似ているハリーにスネイプ先生が八つ当たりをしているのだとしたら?
どうしよう。あながち間違っていない気がする。
「あ、そういえば。ナマエ、リーマスからの手紙の内容はなんだったの?」
「そうだった!」
ハリーに言われて、リリーからの手紙と一緒に送られてきた紙切れを持ち上げる。少し古くなった羊皮紙に書かれた私の名前。
“ ナマエへ。
どうやら、“例のあの人”の正体が分かったようだね。”
「リーマスにはバレていたんだ!」ハリーがおかしそうに言う。
“ セブルスとジェームズ達は犬猿の仲だったんだ。廊下でばったり会った日には、壁が吹き飛んでしまうくらいお互いに魔法をかけあったりね。
ところで、クリスマスには帰ってくるだろうね?ナマエに紹介したい人がいるんだ。
くれぐれも、セブルスにジェームズ達の話をしないように。きっとハリーに対する扱いがますます悪化してしまうだろうから……。”
「……リーマスに言われなくたってそうするよね?ナマエ」
「確かに、その通りだわ」
リリーからの手紙を憤慨した表情で睨み付けながら仕舞うハリーにそう返して、もう一度リーマスの手紙に目を通す。
───“ナマエに紹介したい人”?
「……一体、誰なのかしら……」
その呟きは、ハリーがぶつくさと言うスネイプ先生への文句でかき消された。
あんなに楽しみだったクリスマス休暇。だけど、どうしてか私にはあまりいい予感がしなかった。
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