碧霄の絵画 | ナノ
ホグワーツでの生活は、びっくりするくらい楽しくて可笑しくて、そしてちょっぴり怖くて、とても有意義。

最初の頃こそ始めてのことだらけで戸惑ってばかりだった私達一年生も、三ヶ月もすればそれなりに慣れてくる。
入学後、何日かかけて探し回った図書室の場所も、今ではどの道から行っても迷わずにたどり着けるほどだ。

「確か、リーマス達が卒業した年は1978年だったわよね」

「うん。あ、多分あっちの方だ」

ハリーと二人で本の背表紙を睨み付けるように眺め、お目当てのモノを探す。1978年。恐らく、この年の卒業写真に私達の探し求めていたものがあるのだろう。
背の低い私にとって、高い本棚の間を行ったり来たりしながら、積み上げられた沢山の本の中からそのアルバムをピンポイントで探すのは大変なことだった。

「あった。これだ」

ハリーがそれを見つけ、手に取る。1978年の卒業アルバムは深い青色だ。
窓際の席に隣り合わせに座り、その本を開く。

「“スリザリン”で“ねっとり”していて」

「“いい人だけど少しだけ臆病”で、“ジェームズが嫌いな人”」

「で、“ママの幼なじみ”だろ?絞りこみで検索できたら楽なのに…」

「150人近い人の中から“例のあの人”を見つけるなんて大変だわ。正直、スリザリン生はなんだか皆ねっとりして見えるもの」

私のその本音にハリーが吹き出す。本についた唾を手で拭き取りながら、ハリーが「確かにね」と肩を竦めた。

“例のあの人”探しは、私達が思っていた以上に難航している。外見的情報があまりにも少なすぎるのだ。いくらホグワーツの図書室とはいえ、「リリーの幼なじみ」で絞りこみ検索できるわけではあるまい。おまけに、集合写真は小さくて見えにくい。指で写真の前にいる人達にどいてもらい、後ろの人に目を凝らす。

「………いないわね」

「うん…もっと後ろかもしれない。ちょっと前にいる人どいてくれるかい?」

ハリーがそう言うと、何人かは嫌そうに、何人かは無表情のまま横にどいた。

前にいる人達は椅子に座っており、二段目からは階段のようになっている。しかしあまり大きな段差がないようで、二段目以降にいる人達の顔が重なってしまっているのだ。

何回かお願いをしてどいてもらい(丁寧に頼まないとどいてくれない人もいた)、短い髪の毛の鷲鼻の女の人にどいてもらったところで、ふと黒い髪の毛が目に入る。

「……ねえ、ハリー」

「どうしたの?ナマエ」

「もしかして……この人じゃないかしら?」

その人は、まるで日光に照らされたことを怒るように眉間に皺をよせ、私達を真っ直ぐ睨みつけている。前にいる人達に隠れるように立っており、スリザリン生だと言われなくても分かる。“ねっとり”まさにその単語がよく似合う風貌だ。

しかし、どうも誰かに似ている気がしてならない。
ハリーもそう思ったようで、一瞬目を合わせてまた写真に視線を戻す。それにしても、あまり良い予感がしないのは何故だろう。

十一段目の左から四番目。次のページに書かれている生徒の名前と照らし合わせる。
セシリー・バジョット、エディ・ウォーター、アラン・グリーンフォール。そして───。

ちょうど時計塔の鐘が鳴り、お昼を報せた。


「「セブルス・スネイプ」」


これはあまり知りたくなかった事実だ。


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