碧霄の絵画 | ナノ

親愛なるリーマスへ。
私は無事、リーマスと同じグリフィンドール寮になりました。すごく嬉しいわ。あの組分け帽子ってとっても不思議ね。私がグリフィンドールに入りたがってるって分かっていたのよ。ハッフルパフと悩んでいたみたいだけど、結局グリフィンドールにしてくれたわ。それから、もしかしたらもう知っているかもしれないけど、ハリーもグリフィンドールです。ロンっていう男の子やハーマイオニー、ラベンダー、パーバティ、アンという女の子達とも仲良くなりました。部屋が一緒なの。


ここまで書いて羽ペンを止めた。書きたいことがあまりにも多すぎる。ホグワーツに来てまだ一日も経っていないのに、まるでもう三年もここにいる気分だ。長々と書いても迷惑になるかもしれない。しばらく考えて、私はまた羽ペンを動かした。


授業も今から楽しみだわ。ハーマイオニーが沢山教えてくれたの。(誰も聞いていないんだけどね。他の三人はうんざりしてたわ)リーマスが得意な闇の魔術に関する防衛術の授業は特に頑張ります。ハーマイオニーには絶対に負けたくないわ。


インクが足りなくなってきた羽ペンを止めて、最後の一文を消した。インクを付け直して、変わりに別の文を書き込む。


これからしばらくリーマスに会えないのかと思うと、とても寂しいです。クリスマスにはそっちに帰るわ。それまでは私、沢山勉強して学校生活を楽しみます。


机に羽ペンを置き、手紙を持ち上げて文章を読みなおす。うん、大丈夫だろう。四つに折り畳んで白い封筒に入れる。手紙を出しに行くのは明日だ。もう消灯時間は過ぎているし、入学初日から規則を破るような真似はしたくない。ルームメイト達が寝静まった部屋におぼろげに広がっていたランプの灯りを消した。

「あら、消してしまうの?」

「…ハーマイオニー?貴方起きてたの?」

「眠れなかったのよ」

「あ…ごめんなさい」

ベットの脇に置いてあった髪の毛と同じ色のカーディガンを羽織り、ハーマイオニーが分厚い本を広げる。挟んであった栞を抜きながら、彼女が私をちらっと見て、「そうじゃないわ」と言った。

「灯りのせいじゃないの。ただ、ちょっと興奮しすぎたのよ。本に書いてあったよりもホグワーツがずっと素晴らしくて。だから私は眠くなるまで本を読みたいから、灯りはそのままにしておいてほしいの」

ハーマイオニーはここまで一息で言うと本に視線を戻した。ランプにもう一度光を灯して彼女のそばに持っていったら、ハーマイオニーが「ありがとう」と笑った。

「ナマエ、貴方は魔法族出身なの?」

「さあ…私の保護者はこのホグワーツ出身だけど、血は繋がってないから私自身がどうかは知らないわ。でもどうして?」

「実はさっき…」

ハーマイオニーが顔を思いっきりしかめる。「ドラコ・マルフォイよ」と息と一緒に吐き出して、軽く爪を食い込ませた本を音を立てて閉じた。

「あいつ私がマグル生まれだって知った瞬間に、お前のような奴らは生まれ損ないだ、とか魔法族よりも劣ってる、とか」

「そんなことを言ったの!?なんて最低な奴!」

ジェームズが言っていたことの意味がよく分かった気がする。マルフォイが純血主義だということは分かっていたけれど、まさかそんなことを言う人間だったなんて。

「そんなこと気にしなくていいのよ、ハーマイオニー!マグル生まれが魔法族より劣ってるなんてことあり得ないわ!」

「…本当に?でも私───」

「ハーマイオニー、さっきコンパートメントで一緒にいたメガネの子憶えてる?彼のお母さんは貴方と同じマグル生まれだけど、彼女は学生時代に首席で監督生だったのよ!」

どうやら、首席で監督生がハーマイオニーを一番慰めるものになったらしい。目を丸くして、言葉も出ないほど感激していた。その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。驚いてハーマイオニーのそばに近寄れば、ハーマイオニーはずっと不安だったのだと言った。

「私、ここに来るまでに練習のつもりで簡単な呪文は全部試したし、教科書も全部暗記したの。だけどそれだけで足りるかどうか分からなくて…」

「えっ?い、いや…それくらい準備万端なら大丈夫だと思うわ…さっきのメガネの子は魔法族だけど、間違いなく教科書なんて読んでないし」

「…本当に?」

「ええ、本当よ。だから自信を持って」

私がそう言ってハーマイオニーの肩を軽く叩けば、ハーマイオニーが安心したようにニッコリ笑った。なんだ。こうして笑っていると普通の子だわ。つんけんしているより、こっちの方がずっといい。ハーマイオニーが「有難う」と笑いながら言った。思っていたよりも、彼女と仲良くなれるかもしれない。

「もしナマエが授業とかで分からないことがあったら私に何でも聞いてちょうだい!」

彼女にかなりの自信をつけてしまったようだけど。これが間違った方向にいかないことを祈るばかりだ。

ハーマイオニーに笑いかけて机に戻り、封筒から紙を出して広げる。遠くから届くわずかな光を頼りに、羽ペンで少しだけ文を付け足した。



きっと、とても楽しくなると思うわ。賢くて自信家で、とても頼りになる友達もできたしね。



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