まぶしい素肌



「おおお!!ふたりとも良い!めっちゃ良い!」





一番に着替え終わったので待つことしばらく。
ティファとエアリスも更衣室から出て来て、これで全員の準備が整った。

やっと見られたふたりの水着姿。
あたしはひゃー!っとめちゃくちゃはしゃいでた。





「ふふ、ありがと!ナマエもそれ、すっごく可愛い!ね、ティファ!」

「うん!最初の見立て通り。やっぱりナマエに似合うね、その水着!」

「そ、そうかな?えへへ、んじゃ、ありがと」





ふたりに挟まれ、可愛い可愛い褒められた。

ううん、ちょっと照れくさいのはなんだろうか。
まあでも自分でも気に入った水着だから、そう言ってもらえると素直に嬉しいかもだ。

うん、正直満更ではない!





「じゃあ、ビーチにしゅっぱーつ!」





エアリスが拳を上げる。

これでドレスコードは完璧。
それではいざ!

あたしたちは早速、ビーチに向かうことにした。





「ティファ、ナマエ、エアリス…なんでこんなところに」





ビーチに向かう途中、正面から見慣れた顔が歩いて来た。
それは何やら大荷物を抱えたジョニー。

あたしたちが気付いたように、ジョニーもこちらに気がついた。

ただ、その顔はどこか少し気まずそうでもあった。





「ジョニーこそ、それ、どうしたの?」





エアリスが尋ねる。

ジョニーが抱えている大きなカバン。
それには神羅のロゴが入っていた。





「神羅の重役の荷物だよ…これからホテルまで運ぶところだ」

「神羅の重役?なんであんたがそんなことしてるのさ…市長に呼ばれたんじゃなかったの?」

「その市長の命令さ…」





あたしも聞いてみると、そう答えが返ってきた。

どうやらさっき言ってた市長からの呼び出しとやらがこの仕事らしい。

カポノ市長…。
神羅の重役と繋がりがあるってことなのかな。





「神羅って…。ジョニー、あんなに神羅のこと嫌ってたじゃない」





七番街スラムにいた時、ジョニーは神羅を嫌っていた。
その姿を知ってるティファは一体どうしたの…?と不安そうな顔をする。

そんな瞳からジョニーは顔を背けた。





「市長は…あの人は、俺の恩人だから。俺はもう、ドブを這いずり回るネズミじゃない!」





ジョニーはそう強く言うと、そのままどこかに走って行ってしまった。

ミッドガルを出て、ジョニーも色々と生き方を模索したのかもしれない。
そしてその結果、辿り着いたのが今の生き方…。

カポノ市長…。
古びた宿屋に、借金…。

やっぱり、引っ掛かるなあとは思う。

本人がそれでいい、そこから駆け上がるというのなら…止める気はないけど。





「…じゃあ、ビーチ、行く?」





少しだけ、重くなった空気。
そんな中、あたしはそう声を掛けた。

そりゃまあ心配はあるけど、考えても仕方ないし。

皆も「うん」と頷いて、空気を変えようとしてくれる。

うん、じゃあ気を取り直して!
こうしてあたしたちは、ビーチへ続く階段を下りた。





「あ、レッド〜」

「レッド、どうかな?」





下りてすぐのところ。
あたしたちが着替えている間、先に行くと言ったレッドが寝そべって欠伸をしていた。

あたしとエアリスが声を掛けると「えっ?」と、ちょっと珍しい声を出す。

エアリスとティファがポーズを決めていたから、あたしもちょろっと決めてみた。

いやもう!ここはリゾート地だ!!開放的になれええ!!!





「ティファは…イルカのようにしなやかで、エアリスは…クラゲのように柔軟だな…。ナマエは…ヒトデのようにやわらかだ」





レッドXIIIはあたしたちを順々に見て、感想を述べていく。

…ヒトデ…?

ちょっと反応に困る。
それは、いい意味と捉えてOKです…?





「褒めて…くれてるんだよね?」

「…人間の美醜は、私にはわかりかねる」





ティファが聞けば俯き気味にそう言うレッドXIII。

うん、まあ確かに。
他の種族の価値観なんて、そりゃわからないかもだ。

でも褒めようとしてくれたのは事実みたいだし。
あたしは「ありがと」と、レッドXIIIの頭に触れた。

さてと、クラウドやバレットはもうビーチに来てるのかな。
あたしたちはふたりを探すべく、砂浜を歩き出す。

すると…、なにやらわらわらと知らない男の人達がこちらに寄ってきた。





「お姉さんすっごく可愛いね!どう、向こうで一緒に遊ばない?」





て、典型的なナンパ…。

ティファとエアリスにも寄ってきてる。
まあそりゃそうだろう。

こういうのは相手にせず、反応しないが吉。

でも、すっごく可愛い、か。

その言葉は悪い気はしない、というか。
ちょっと自信にはなったかも、というか。

うん!センキュー!ナンパ男!!
そこだけは感謝するよ!!

ま、無視は貫くわけだけど。

そうこうしていると、先に気が付いてこちらに来てくれているクラウドとバレットを見つけた。





「!!!!!!」





…けど、それを見た時あたしはビクッと一瞬固まった。

いやすぐ我に返ったけど。
ティファとエアリスがふたりに駆け寄っていくから、あたしも慌てて追いかける。





「おまたせ〜!」

「クラウド、どうかした?」

「えっ、ああ、いや…、ここは…その、日差しが強い。気をつけろ、焼き過ぎると痛い、あとでな」





エアリスとティファに声を掛けられ、謎の倒置法クラウド。
凄くわかりやすく見惚れてたの誤魔化してる…。

勿論ティファとエアリスにもバレバレ。
でもふたりも悪い気はしてないようで、くすりと笑って応えていた。





「ふふっ、クラウドも真っ赤になりそう!」

「ヒリヒリで、ひゅ〜ひゅ〜だね!」





確かにクラウド、肌白いもんな…。
日焼け対策ちゃんとしないと、真っ赤でヒリヒリかもしれない。





「…っ」





あ、今、自分に限界が来たのを感じた。

いや、さっき我には返ったのよ。
でもそれと落ち着けるかどうかは全く別の問題なのさ。

今、目の前にいるクラウド。
ビーチにはドレスコードがあるから、勿論クラウドもリゾートウェアに着替えている。

つまりは…。



クラウドの水着姿…!!!!
上半身、裸…!!!!



いつもはソルジャー服で隠れているその素肌。
それが今は惜しげもなく晒されている…!!

胸板と、しなやかながら割れた腹筋…!それと引き締まった腰…!

そんなっ…そんなっ!!
いいんですかそんな!!!!

眩しすぎる…!!
目がやられてしまう…!!

でもそんなこと叫んだらただのド変態だ。

だからあたしはいつものごとく、傍にいるレッドXIIIにガバッと抱き着いた。





「……なんだナマエ。今は抱き着くな。暑苦しい…」

「…いや、感情のやり場がない…」

「…何を言ってるかわからないのだが」





珍しく嫌がられた。
でもわかる。あたしもこのモフ毛、今は暑いわ!!

じゃあ離れろと。
そりゃごもっともで。

でも、クラウドが…クラウドがああああぁぁぁあああっ…!!!

そうしていると、目の前に影が落ちた。





「ナマエ…あんた、何してるんだ」

「ぴゃっ…」





変な声が出た。
咄嗟に見上げたら、目の前に来てこちらを見下ろしているクラウド。

思わず手に力がこもってレッドが「うっ」て言った。
あ、ごめん。





「なんでレッドに抱き着いてるんだ…お互い暑いだろ」

「ん…まあ」





すると、手を差し伸べられた。

はうっ…。
そんな至近距離でそんな…っ!

目のやり場に凄く困る。
だって一回見たらガン見しちゃいそうなんだもん!

でも差し伸べてくれてるのなら、そのチャンスを逃すまいと手を掴む。

クラウドは引いて立たせてくれた。

レッドは逃げた。
…逃げるなよ。流石に傷つくぞ。

離れていく赤毛を目で追っていると、目の前からのじっとした視線を感じた。





「?、クラウド…?」

「あっ…いや…」





視線はクラウド。
声を掛けたら、慌てた様に視線を逸らした。

…今、見てた?

何!?何見てた!?
腹!?腹か!?腹じゃないよね!?

やっぱり最近食べ過ぎ!?

いやいや!食べてるけどその分いっぱい戦ってるもん!!
そしたらプラマイゼロだろう!?

ていうか別にそんなヤバくないよ!!ヤバくない!!

しいて言うならティファがあんなに引き締まってるのが悪いんだわよー!?

謎の脳内言い訳祭り開催。

するとその時、レッドXIIIの唸り声が聞こえた。





「グルルルル…」





え、何…どした?

尻尾を立て、酷く先を睨みつけているレッドXIII。
その視線を追うと、人込みを掻き分けて来るジョニーの姿があった。





「ほら、道を開けろ。ほら、下がって」





そう言って歩くジョニーはこちらに気が付いた。
するとどことなく気まずそうな顔。

一体何…。

そう思いながらジョニーの後ろを見て、あたしたちは目を見開いた。





「え…」





思わず漏れた声。

う、そ…。
もしかして…さっきジョニーの言ってた神羅の重役って…。

黒くひとつにまとめられた髪。
ビーチに似つかわしくない白衣。

そこにいたのは、神羅の科学者…宝条博士だった。



To be continued


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