あとでのガールズトーク
トイレのダクトから重役会議が終わるタイミングを見計らったあたしたちは宝条博士の後を追いかけて研究施設に侵入した。
そこでは宝条博士の獰猛な実験サンプルと戦うことになったりしたけど、でも狙い通りにエアリスの姿を確認することも出来た。
実験用のポッドの中にエアリスは閉じ込められていた。
エアリスを何だと思ってんだ…!
その扱いにも酷く苛立ちを覚える。
「バレット!」
「わかったよ、下がってろ」
周りにいた兵士たちも片付けた後、クラウドはバレットにポッドを打つように頼んだ。
バレットは頷き、エアリスに少し下がるように言うと銃を構える。
「おらあ!」
バレットはポッドを撃った。
するとそのロックは外れ、扉が開く。
よっし!
あたしはガッツポーズした。
「来てくれたんだ!」
「ああ」
「エアリス!」
「エアリス!おまたせー!」
「ティファ!ナマエ!」
ロックが外れ、ポットから出てこられたエアリス。
皆で迎えて、やっとの再会を喜んだ。
あー、本当、やっと会えたよ!
無事に手が届いてほっとする。
でもその時、また武装した兵士たちがこちらに向かってきていた。
どうやら増援が来てしまったらしい。
でも、ここまで来たら気持ちは楽。
こんな奴ら、ちゃちゃっと蹴散らして思いっきり喜ぼうじゃないか!
「ナマエ、行くぞ」
「おっけい!」
クラウドと共に先陣を切る。
すぐにティファとバレットも援護してくれて、苦戦することも無し。
「いっちょあがり!」
ガタン、と音を立てて武装した兵が倒れる。
あたしはヒュッと剣を軽く払って腰のホルダーに収めた。
よし!これでエアリスと再会の喜びを!!!
そうしてエアリスに振り向こうとした。
でもその時。
「待て、ナマエ」
「う?」
その時、ぐいっとクラウドに腕を引かれた。
あたしはくるりと振り返る。
「なに、クラウド?」
「怪我してる」
「え?あー」
そう言われ掴まれた腕に目を向ける。
そこには確かに傷が出来ていた。
いやまあ…多少痛みはあったから気が付いてはいたけど、そこまで大した傷でもないから放っておくか、あとでもいいかなと。
クラウド、さっき当てられたの見てたのか。
「別にそこまででもないよ?へーきへーき」
「ダメだ」
「ええ…」
「治すから、少し大人しくしててくれ」
「…ハーイ」
クラウドはそっと手を添えて、回復魔法を唱えてくれた。
癒しの光がパッと溢れる。
傷を包み込こまれ、徐々に痛みも引いていく。
光が収まると、クラウドは腕を放す。
そして今度はあたしが確かめるように傷があった場所に触れた。
「うん、ありがと、クラウド」
「ああ」
お礼を言えば、クラウドは少し微笑んで頷いてくれる。
あはー、優しいなあクラウド。
染みた優しさにこちらもほっこり。
するとその時、エアリスがじーっとその様子を見ていたことに気が付いた。
「…なんか、クラウドとナマエ、距離近くない?」
「ああ…それは、だって、ねえー?」
エアリスが近くにいたティファに声を掛けると、ティファはニコニコしながらこちらを見て何ともな言葉を返す。
そんな様子に、エアリスはハッと何かを察したらしい。
「ナマエ!!詳しく!!」
「え、ええええっ!?」
詳しくとは!?
なんかすごい剣幕のエアリス。
しかも「あとでガールズトークだね、ティファ!」「うん、賛成!」とかふたりで盛り上がっている。
こ、これは…後で恐ろしいやつだ。
根掘り葉掘りの絶対逃げられないやつだ…!
「…、ここから出るぞ」
そんなやり取りを見ていたクラウドは何とも言えなさそうな反応をしながらそう言った。
…まあ、たぶんクラウドも後で何かと質問攻めにさせる未来が見えたんだろう。
でも、ここでいつまでもダラダラとしている理由はない。
むしろしている場合じゃない。
出るぞ、という言葉には全員が頷く。
「エアリス、大丈夫だった?」
「うん、平気。ナマエこそ怪我してたんでしょ?ごめんね、大丈夫?」
「もう治ったから全然!無事ならよかった!会いたかったよー!」
「うん!私も!会いたかった!ありがとう!」
脱出しようという空気の中、あたしは一度エアリスに近づいた。
だって無事かどうか確認したかったし、話したかったし。
お互い、大丈夫だと言いあって笑う。
エアリスを取り返したなら、あとはもう脱出するのみ!
こうしてあたしたちは、急いで研究施設を出ることにしたのだった。
To be continued
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