ホープ
真白い部屋。
そこは、最後の決戦の場へと続く道だ。
こつこつ…と響く足音を聞きながら、私たちは一歩一歩未来へと進んでいた。
「きっと、もう…すぐなんですよね」
「ん…?」
その時、隣からそんな呟きが聞こえた。
隣を歩いているのは、この一行の最年少の男の子…ホープ。
私が彼を見て首を傾げれば、彼も私を見上げていた。
「怖い?」
「…そうですね。怖くないと言ったら、きっと嘘になります」
もうすぐ…。
それはきっと、最後の決戦が近づいている事の意味。
ルシの一行。
ここにいる誰もが恐らく、怖いと言う感情を抱いているだろう。
私も同じ。
だけど進むのは、共にコクーンを守ると誓い合ったから。
「ねえ、ホープ。私ね、この先したいことがたくさんあるの」
「え…?」
少し笑って、私はそう口にした。
そこにはきっと、緊張があったから。
笑みはそれが少しでもほぐれるように。
「この旅してて色々考えたよ。前は別にそんなに考えた事無かったけどさ、改めて考えるとやってみたい事結構あるもんだなって」
「…そうですね」
ホープは頷いてくれた。
何も大きい話では無いのだ。
日常の中にある小さなこと…。
もうこの先出来なくなるかもって考えたら、途端に色々浮かんできた。
身体に刻まれた消えない烙印が疼く。
今も、消す方法はわからない。
シ骸になるのを防ぐ方法も。
だけど、希望を失わずにいれば…きっと叶うって、今は信じてる。
コクーンを…自分たちの世界を守る事も、きっと。
でもきっと、そう思えるようになったのは…今隣にいるこの子のおかげかもしれない。
「私、ホープに会えてよかった」
「え?」
突然そんなことを言ったものだから、ホープは目を丸くしてた。
そして言葉の意味を理解して、ちょっと戸惑ったように目を泳がせてた。
「なんですか、いきなり…」
「うん…そうだね。でも本当にそう思う。旅の中で、本当に強くなった。ホープの言葉とか考え方に、何度も救われた」
「……。」
くじけそうになる事、何度もあった。
けど君は、その度に希望をくれた。
自身のその名の通りに。
「ねえ、だから絶対コクーンを守って、その後またこうやって話がしたい」
怖いくないと言ったら嘘になる。
そう言って小さく震えていた彼の手を取る。
するとホープの方も、私の手を握り返してくれた。
「それも、終わったたらしたいこと」
「…はい」
「叶えてね」
そう囁けば、彼は私を見上げた。
そしてゆっくりと微笑み、大きく頷いてくれた。
「はい、勿論。だってそれは、僕もしたい事だから」
END
13ってルシじゃなくなったのはエトロの奇跡なのでラスボスに挑む時点では使命から逃れられてないので結構恐ろしいですよね。
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