クレイジーモーターサイクル



あたしたちはクラウドを残して、先に屋上を飛び出した。

でも一度、屋上からの階段を駆け下りたところで足を止めた。





「クラウド、何か、思いつめてた」





足を止めたところで、エアリスがふと呟く。
その言葉に振り返る。

確かに、クラウド…なにか、苦しそうにしてた。
うん…思いつめてる…。そんな感じだ…。ぴったりな言葉だと思った。

するとティファは駆け下りてきた階段を見上げながら、言った。





「…私、クラウドを待つわ! みんなはエレベーターで先に!」

「ティファ…」

「ナマエ、大丈夫よ。さあ、早く!」





ティファに肩をポン、と肩を叩かれた。


…クラウド、…何を思ってたんだろう。すごく気になる。

でも、ここまで来たら信じるしかない。
早く来てって言ったし、大丈夫だよね。

それに、あたし、任されたもんね。


そう思い直して、ぎゅっとエアリスの手を握り締めた。





「行こ!エアリス!」

「ナマエ…」

「ティファ!クラウドが来たらすぐに来て!バレット!レッドXIII!行こう!」





ボスの命令は遂行しないとね!
ボディーガードの務め、しっかり果たさせていただきます!

こうして、エアリス、バレット、レッドXIIIと共にエレベーターに走った。





「もう!神羅ってばしつこいな!」





エレベーターに乗り込むと、連なった向かいのエレベーターからマシーンが襲ってきた。

本当しつこい!!!
なんかすっごくイライラしてきたなあ!もう!





「これでは攻撃が届かないな」

「んじゃ魔法だね!サンダー思いっきりぶっ放してやる!」

「銃なら届くぜ!お前らは援護してくれ!」

「エアリスは後ろでケアルお願い!」

「わかった!」





こちとらクラウドに任されてんだかんね!
気合充分んだっっつの!!!





「くらえ!サンダー!!!」





ソードにはめこまれた雷のマテリアの力を借りて、ひたすら稲妻を放ち、マシーンを破壊した。

そのまま、一気に1階まで降りた。

ああ…エレベーターって超楽ね…。
あまりの快適さに、行きの苦労をちょっと思い出してしまった…。





「俺が先に行くぜ!」





エントランスに出たところで、バレットが銃を放ちながら出入り口に走っていく。

でも、やっぱり一筋縄じゃいかなそうだ。





「チッ…!すっかり囲まれてやがる。俺ひとりならともかく、この面子じゃ…」

「…やっぱり、あなた達だけ逃げて。あの人達が狙っているのは私。あなた達だけなら…」

「そんな選択肢ありません!」





弱気になるエアリスの言葉を遮った。
そして、にっこり笑う。





「それじゃ、何のためにここに来たのかわかんないよ!エアリスのこと、助けに来たんだから」

「そうだぜ。あんたはマリンを守るために奴らに捕まった。今度は、オレがあんたを守る番だ。これ以上奴らの…神羅の好き勝手にはさせねえ」

「…ありがとう、ナマエ、バレットさん」

「ヘヘッ、よしてくれよ。バレットさん、なんて俺の柄じゃねえや」





照れくさそうに笑うバレット。

そこに水を差すように入った落ち着いた声がひとつ。





「…さて。君達の話が終わったならそろそろここから逃げ出す方法を考えてみないか?」





それの声の正体は勿論、レッドXIII。
いやあ、この落ち着きすごいよね。





「超クールっすね、レッドさん」

「…チッ、いやに冷静な奴だな。何処かの誰かさんみたいだぜ」

「何か?」

「いや、何でもねえよ。さて、どうするか…」

「うーん…そうだなあ…」



「ナマエ!バレット!」





どうやってこの場を突破するか。
悩み、頭を捻っていたその時、階段の方から声がした。





「ティファ!」





振り向けば、そこにはティファの姿。





「ティファ!クラウドは!?」

「みんな、こっち!」

「ええ!?どうしたんだよ?クラウドは?」

「話は後!いいから早く!」





クラウドの事を尋ねるバレットには答えず、皆を誘導しようとするティファ。

何か考えでもあるのか、と皆ティファに続く。





「あ、ナマエはここで待って!」

「ええ!?なんで?!」





でも、なぜかあたしだけ仲間外れにされる。なんで!?





「ご指名よ。大丈夫!すぐにわかるから」

「え、ええ!?」





ティファはそう言い残し、皆を連れて行ってしまう。

ちょ、なに!
ご指名って何!すぐわかるって何!?

そう思いながら走っていく皆の背中を見つめていると。





「ナマエ!」

「え…?」





また階段の方から声がした。
それと同時にエンジン音のようなものも聞こえる。

振り向いて、驚いた。





「クラウド!?バイク!?」





そこにはバイクに跨り、颯爽と階段を駆け下りてくるクラウドの姿。

ちょっ、格好いいじゃないか!!!
…とか、まっさきに思っちゃったあたしは別にお馬鹿さんじゃないよね!?

そんな事をあたしが思っているなんて欠片も気付いていないだろうクラウドはあたしの真横で一度バイクを止めた。

そして一言。





「乗れ」

「へ?」




の・れ?
一瞬思考が停止。





「後ろに乗れ。早くしろ、脱出するぞ」

「へ、あ、ハイ」





急げ、と言われたので言われたまま後ろに跨る。





「掴まってろ」

「わっ!」





瞬間、ぎゅん!っと一気に走り出したバイク。
ビックリして思わずクラウドの腰にしがみついてしまった。

わあああああ!?
あたしってば何て大胆な事を!

いやでもナマエ、幸せです!!!

もう、なんかちょっと阿呆だと自分でも思う。
でもこの状況できゅんきゅんするなって方が絶対無理だと思うの!

なんか状況よくわかんないけど!
今この時をしっかり堪能しておかねば損だわね!





「ナマエ」

「はーい?」

「後ろ、神羅が追いかけて来てる」

「へ?…んおう!?」





堪能しておかねば!…とか言ってる場合じゃ全然ありませんでした。

クラウドに言われて後ろを見れば、神羅側もバイクで追って来ていた。うそん!





「ティファ達はトラックで先を走ってる。俺達は追手を食い止めながら走るぞ」

「え、あ、そ、そういうことですか…」

「何がだ?」

「あ…、いや別に…」





ティファの言ってたご指名の意味を理解した。

確かに前を見れば皆が乗ったトラックが走ってる。
へいへい。そーゆーことですか。

…ま、ここまで来てエアリス連れ戻されちゃうわけにはいかないよね。
ご指名も、名誉なことじゃない。


ニッ、と笑った。





「おっけ!やったるよ!クラウド、なるべく安全運転よろしくね!」

「努力する」





クラウドは片手に大剣。
あたしは雷のマテリアを手にする。

トラックには絶対近づけさせません!
グッと、そう決め込んで、敵を叩きのめしていく。





「はああっ!!」

「サンダーッ!!」





そして一気にハイウェイを突き抜けた。















「さて、どうするよ?」





ハイウェイの果て。
追手も振り切り、そこまで逃げたところで、バレットがそう口を開いた。





「セフィロスは生きている。俺は…あの時の決着をつけなくてはならない」





クラウドは答える。

クラウドは、セフィロスの名前を出すと険しい表情になる。
…あの時の決着ってなんなのかな。





「それが星を救うことになるんだな?」

「…おそらく、な」

「おっし!俺は行くぜ!」

「私も、行く。…知りたい事、あるから」





クラウドとバレットの間に、凛とした声が入る。
エアリスの声だ。





「古代種のことか?」

「…色々、沢山」


「さらば、ミッドガルね」





ティファの言葉に皆が頷いた。

ハイウェイから見える朝日。
その眩しい光を目に受けながら、ミッドガルに別れを告げた。


To be continued


やっとミッドガルが終わったわ…。

ていうかハーディ=デイトナの後ろに人乗れるのかな?
いいじゃないか!フェンリルにティファ乗ってたもの!w


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