元限定小説
聖魔の光石 予告



主人公設定:ミルラの姉
その他設定:FE聖魔原作沿い連載夢の予告



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昔、私は無邪気でものを知らない子供だった。
強く逞しい父のようになりたいと、ずっとそう思って笑っていたから。
そんな私は、この大陸の行く末を見届けなければならない義務がある。
マギ・ヴァル大陸がどうなるのか、どんな運命を辿って行くのか……。

……いや、それ以上に私は私を見届けなければ。
果たして父のようになれるのか、なれないのか。
なるのか、ならないのか。


「ミコト姉様」
「ミルラ、そろそろ出発しましょうか。急がないといけないかもしれない」


竜族長ムルヴァの娘として遥かなる時間を生きて来たが、果たして私は父の跡を継げるのか。
継ぐのか、継がないのか。
不安ばかりがよぎって、どうにも安定しなかった。

けれど私は行かなければならない、そして決断しなければならないのだ。
父の跡を継ぐか継がないか……。
どちらを選んでも後悔してしまうだろうけれど、それでも私は……。


■□■□■□


一人、旅立つ娘が居た。
彼女の前途には二股の分かれ道。どちらへ進むか選択を迫られる。

彼女は気付いているのだろうか。
その重大な選択さえ、生の中で幾重にも枝分かれしている選択肢の一つに過ぎないと。
だが生きる者は毎日何かの選択をし、限り無いと思える程にある分かれ道を選び、
そして明日へ道を繋いで行っているのだ。

あの時挨拶をしていたら。
違う事を言っていたら。
時間に遅刻していたら。

日常のほんの些細な行動さえ未来には影響する。
生き物を己が選択した道の先にある未来へと、否応無しに引き連れて行く。

強制など有り得ない、全ては己が選んだ道。


さぁ、彼女は一体、どの道を選び進むのだろうか。


ツァウベル著
【聖魔の娘】より



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