元限定小説
烈火の剣 予告



主人公設定:エレブ大陸にトリップした少女
その他設定:FE烈火原作沿い連載夢の予告



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わたし、何か、とても大切な事を忘れているような気がするんです。
それは小さな頃から、ずっと消えない蟠り。


赤い色が好き。
燃え盛るような紅蓮は、とても暖かいと思う。

美人で若々しいと近所でも評判の母が焼いてくれたアップルパイを食べながら、
わたしは材料の余りであろう林檎を眺めつつ、そう思っていた。
わたしの髪が真っ赤な色をしていたら素敵だなぁ、
なんて思いながら、明日の授業の事を考える。

明日は苦手な教科が、先生の不在で自習になった。
運がいい、この調子で明日が良い事ばかりになってくれたらもっと嬉しい。


「ミコト、ちょっと晩御飯の支度手伝って!」
「はーい」


母に呼ばれて わたしはキッチンへと走る。
父が言うに、母は昔、あまり家事が得意ではなかったらしいけれど、
そんなの今の母からはカケラも想像なんて出来ない。
まぁ言われてみれば、昔は手作りのおやつが酷い味だったり、
食事が酷い事になっていたりもしたけれど……取り敢えず、今の母からは想像不可能。


「あのねお母さん、明日は苦手な教科が自習なの。
 この調子で良い事もっと起きたりしないかなぁ」
「あら、そうなの。良い事……きっと起きるわよ」
「……起きるかな」


いやに確信を持って言う母に少々違和感を覚えながら、それでも信じてみる事にした。
まずは信じる事から始まる……母の教えだから。
そんな事を言っていたら今の世の中危険すぎるのは分かっているけれど、
まぁこんな事なら信じていても構わないよね。

明日、良い事がたくさん起きればいい。そう思いながら、まだ帰宅しない父と兄を待っていた。


■□■□■□


ある所に、女の子が住んでいました。
彼女はとても大事な忘れ物をしているので、
いずれは忘れ物を取り戻しに行かなければならないのです。

どこへ?
彼女が忘れ物を置いて来た所へ。

取り戻しに行って、取り戻せたとして、それからどうするかは彼女次第。
どんな目に遭ってもどんな道を行く羽目になっても、全ては彼女次第。


忘れ物を探しに、
忘れ物を取りに。


さぁ、行ってらっしゃい。


ツァウベル著
【烈火の娘】より



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