元限定小説
セネリオ



主人公設定:アイクの姉
その他設定:−−−−−



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いつもと変わらぬ傭兵団の砦に、いつもと違う様子のセネリオが居た。
彼の眼前にはにこにこと微笑むミコト、手には異国を伝える書物。
どうやら どこぞの地域では子供の為の休日が設けられているようで、
彼女はそれをセネリオに適用しようとしているようだ。


「だってセネリオいつも仕事でお疲れ様だもんね。本来の参謀としてだけじゃなく、
 資金のやりくりとか管理とか色んな契約まで……。今日1日くらいはゆっくりしなよ」
「はぁ……。折角なのですがミコト、仕事は待ってはくれませんので。
 そもそもアイクに断りも無く、そのような事など……」
「アイクの許可ならあるよ。心配しなくても、むしろこっちはセネリオの事が心配なんだからね」
「……第一、僕は子供ではないんですが」


自分は見た目通りの年齢ではないし、団で最年少のヨファは一体どうなると言うのだろうか。
今となってはヨファの方が年上に見えるなどと、考えたくない事実もある。
だがミコトは相変わらずにこにこと笑んでいて引き下がりそうにない。
こうやって主張し出すと逆らうのが極めて困難なところは、彼女の弟のアイクとソックリである。


「僕が1日休む分の仕事はどうするんです」
「あたしがやるよ。今日1日だけなら普通に何とかなるだろうしね」
「……」


もう駄目だ、こうなれば押し売りされた親切を買い取るしか方法は無い。
セネリオは、さっそく自分から書類を奪い取って処理を始めたミコトの隣に座り、
同じようにして書類の処理を始めた。


「ちょっとセネリオ、今日は休んでいいのよ」
「えぇ。今日1日は自分の為に使います。なのでどう使おうが僕の勝手です」
「真面目なんだから……」


でも少しだけでいいんだからね、と釘を刺すと、セネリオは薄く微笑み小さく頷いた。



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