元限定小説
ロイ



主人公設定:エリウッドの妹
その他設定:−−−−−



++++++



「おばうえ! おばうえ!」


駆け寄って来る小さな甥っ子に、ミコトは幸せそうな笑みを浮かべた。
兄であるエリウッドの息子、ロイ。
彼の母は数年前に病死し、父も病気がちな体……叔母である自分も病気持ちとなれば彼の体が心配だった。
だが、そんな心配もよそにロイはすくすく育ち、現在も健康そのもの。
7歳になったばかりの彼は嬉しそうに、ミコトへとすり寄った。


「おばうえ、聞いて下さい。ちちうえに、
 大きくなったらおばうえと結婚したいと言ったら、だめだと言われてしまいました」
「そ、それはダメよ。私とロイは……親子みたいなものなんだから」
「でしたら、ははうえになって下さい!」


そっちは更にマズい方向だろうが、ミコトは小さなロイにどう説明するべきか迷い苦笑する。
小さい子供によくある、身近な年上女性への憧れがこうさせるのだろう。
少し考えてから、何とかロイを宥めようとする。


「ねぇロイ、私、ずっとロイの叔母上で居たいんだけど……だめ? もう叔母上はいらない?」
「えっ……いやです、ぼく…ミコトおばうえがいなくなっちゃ……」
「じゃあ、私はずっとロイの叔母上でいるわ」
「はい!」


すっかり言いくるめられたロイは、上機嫌になって再び、おばうえおばうえとすり寄って来る。
まるで自分にも子供が出来たようで、家族の幸せを噛み締めるミコトだった。



- ナノ -