短編夢小説
お子様賛歌



主人公設定:強気少女?
その他設定:スマブラ



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「ミコト、お前って本当に馬鹿だよなぁ」


乱闘中、自分が仕掛けたセンサー爆弾の所に食べ物が落ちて来て、つい拾いに行ってしまったミコト。
当然ながらセンサー爆弾に引っ掛かり、派手な爆風で吹き飛ばされた。
ムスッとした表情で戻って来たミコトへ、リンクは笑いながら告げる。


「お前がセンサー爆弾仕掛けてから十秒も経ってなかったぞ確実に! なのに何で自分で引っ掛かるんだよ」
「うっ、うるさいなぁ! だってパフェが落ちて来たんだもん、取らなきゃ勿体ないじゃん!」
「食い意地張りすぎ」
「うるさーい!」


からかうリンクとムキになるミコトの言い合いで乱闘になどならない。
まぁ幸い2人で鍛錬していたので、他は誰にも見られなかっただけマシだ。
だがミコトは、すぐにその考えを訂正しなければならなくなった。
その日の夕方ゾロゾロと帰って来る仲間達へ、リンクが嬉しそうに今日のミコトについて話す。


「自分がセンサー爆弾仕掛けて十秒も経ってないってのに、パフェ取りに行って自分で引っ掛かってんだから笑えるよ」
「ちょっとリンク、なに言い触らしてるのー!」


けらけら笑いながら話すリンクに背後から蹴りを入れるが、ミコトが怒って放った蹴りにもリンクはあまり動じない。
それどころか、更なる失敗を笑い話にして他の仲間に話し始めた。


「そうそう、あとアレだ、スマートボムあるだろ。ミコトのやつ、あれ取ろうとしてウッカリ攻撃しちゃってさ、爆発させて自分だけダメージ受けてんだぞ。笑えるだろ」
「もーリンク、言わないでったら!」


ミコトは本気で怒っているつもりなのにリンクはへらへらしているし、周りの仲間達はコレを微笑ましく受け取っていて、ぐーっと嫌な気分が湧き上がって来た。
もういい! とスネて自室へ戻ったミコトを、リンクは相変わらず笑いながら追い掛けて行った。


「おーいミコト、何そんな怒ってるんだよ!」
「だって、話さないでって言ったのにリンク皆に話しちゃうんだもん!」
「気にするなって、皆楽しんで聞いてたよ」
「それがダメなの!」


からかわれて嫌な気持ちになっているのに、リンクにはそれが分からないのだろうか。
益々スネて怒り出すミコト。


「やめてって言ってるのに、何でリンクは聞いてくれないの! そんなに私を虐めて楽しい!?」
「……まぁ、楽しいかな」


その一言がトドメとなってしまったのか、ミコトはリンクを持っていたバッグで思いっ切り殴りつけて逃げて行った。
走り去り際、リンクの馬鹿ぁー!
なんて叫んでいたので、逆にリンクは笑いを誘われてしまう。

小さな子供じゃないのだから、こんな事をやめたいと思っているリンク。
だがミコトをからかうのが楽しいのは事実なので、やめられない。
取り敢えず彼女を追って小走りで進んだリンクは、彼女の部屋の前へ。


「おーいミコト、あんまり怒るなよ、俺が悪かったからさ」
「そのセリフ何度目!? もう信用しない、リンクの言う事なんて絶対!」
「あ、そう。ならいいよ」


扉越しに会話する二人、謝るリンクに強情な態度を取るミコトだが、そんな彼女をあっさり諦めてリンクは立ち去る。
廊下には厚い絨毯が敷かれているので靴音は吸い込まれて響かないが、何となく感じ取った雰囲気に険悪なものを感じ、ミコトは思わず扉を開けた。

扉を開けた先に居たのは何故か怒っているリンク……ではなく、今の険悪そうな雰囲気が嘘のような笑顔のリンク。
訳が分からなそうなミコトの腕をを逃がさないように掴み、リンクは楽しそうに声を張る。


「つーかまーえた!」
「だ、騙したの!?」
「ミコトが勝手に騙されたんだよ。全く、理由も知らないで怒りすぎだ」


理由とは、リンクがミコトをからかう理由か。
それにどんな理由があるのかと、ミコトは抵抗をやめて言葉を待った。
リンクは少し照れくさそうにしながら、ミコトをからかう理由を告げる。


「俺が子供だからだよ、だからミコトをからかって意地悪するんだ」
「……ほんと。リンクって見た目より随分子供ね。嫌だって言ってるのにからかって遊ぶなんて」
「うん、俺って本当に子供だからさ。そういや子供……特に男の子って、好きな子の気を引く為にわざと意地悪したりするよな」
「……」


今の言葉。
まるでリンクがミコトを好きだと言っているようで、ミコトは唖然としながらリンクを見上げる。


「……リンク? えっ、あなたまさか、……えっ!?」
「はい、無駄話はここでおしまいな。もうすぐ晩御飯だし」
「待ってよ、無駄話ってなに無駄話って! リンクにとって無駄なの!?」
「あぁミコト、腹が減ったから話は後でな。じゃないと餓死しちまう」
「一食抜いたぐらいじゃ餓死なんてしないよ、ちゃんと話して!」


逃げたリンクを追い掛けながら、ミコトは言葉の真相を彼に問い詰める。
おおよその事は理解しているが、勘違いだったら恥ずかしいし、彼からちゃんと言って欲しかった。


「リンク〜っ!!」
「後で後で! 今日の夕飯なんだったかな、久し振りにシチュー食べたい」
「シチューに負けたの? 私シチューに負けたの!?」
「馬鹿だな、シチューなんかよりミコトの方が断然好きに決まってる」


ハッキリ言ってくれた、が、シチューと比べられて勝っても嬉しくない。
喚きながらリンクの後を追うミコトは、リンクがこちらを見ずに放った一言に黙り込んだ。


「ミコト大好きだー!!」


沈黙の後は当然、その意味を問い詰めるミコトの声で、先程より騒がしくなるのだった。





*END*



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