et ora amet

11章外伝 歩む前に



ルミザはエフラムと共に、武器を鍛え直して貰う為に鍛冶屋へ。
その途中、エフラムがルネスを追放された経緯が気になったルミザは、彼に訊ねてみる事に。


「エフラム王子、もし宜しかったらルネスを追放された事……詳しく教えて頂けませんか?」
「あぁ、情けない話だが」


今から約2ヶ月程前、彼の叔父がラエティアへの侵略を、兄……エフラムの父であるルネス国王に進言したという。
当然ながら、友好国に攻め入る理由などないと拒否する国王だったが、その瞬間、彼の叔父は兵達に命令し国王を捕らえてしまったらしい。
エフラムは自室に居て直接見ていないそうだが、何故か、臣下の殆どが叔父に従ったそうだ。


「父を裏切らず俺を助けてくれた臣下は十数名……父が王として、そこまで信頼されていなかったのかとショックだった」
「そして、何故大陸の反対にあるドルミーレへ」
「分からない。裏切らずに居てくれた臣下達に守られ逃がされたが、相手は国王軍の精鋭ばかり。逃げ切れず捕らえられた後すぐに、ドルミーレへ送られ売られたんだ」


何故、王は捕らえたのに王子である彼を捕らえも殺しもしないのか。
何か目的があるのではないかと、ルミザは家族の仇を思い浮かべる。

まあ今は考えていてもしょうがないと、地元の住人に訊き、街で最も腕がいいと言われる鍛冶屋に武器を預けた。
鍛冶屋の修理は武器を鍛え直すだけではなく、魔道書や魔杖の魔力を修復させる事も出来る。
そういった事が可能な職人が居てこそ、堂々と鍛冶屋と名乗れるのだ。
武器と言えば、エフラムは今も槍術の修行を続けているようだ。
昔、世界一強い王様になりたいと言っていたのを思い出し、それを告げるとエフラムは苦笑する。


「昔、ルミザ王女に言ったな。だがそれだけしか覚えていないのか」
「え? それだけって……あの後、他に何か仰りましたかしら」
「いや、覚えていないんならそれでいいんだ。また言えばいいだけの話」
「……?」


残念そうなエフラムが気になったが、それで会話が終わったので詳しく追求も出来なかった。
それにしても、エフラムが付いて来てくれて、更に心強くなったとルミザは嬉しくなる。
後は、自分が出来る限り足手まといにならないよう気を付けなければ。
頑張らなければ、と意気込むルミザに微笑み、俺もあなたを手伝いたいと言ってくれるエフラム。
嬉しくなり、ルミザは礼を言いつつ微笑んだ。



次のページへ




戻る
- ナノ -