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11章外伝 歩む前に



ルミザはエリウッドと共に愛馬のウィアを連れ、駱駝の手配へ。
その途中、自分が連れ去られた後の事が気になったルミザは、エリウッドに訊ねてみる事にした。


「エリウッド、私がドルミーレへ連れ去られてからどうやって私の居場所を知ったの?」
「あの後ですか…実は村に賊の行方の手掛かりを手に入れてくれた者が居まして、闘技場のパンフレットがあったんです」


そのパンフレットから、剣奴の売り買いに関するデータが書かれた紙が見つかった。
他に手掛かりも無い以上迷っていられないと、闘技場のあるドルミーレを目指し出発したそうだ。
ドルミーレには闘技場が幾つかあり、調査をしながら捜していた所をレイヴァン達に逢い、王都にある闘技場の事を知って向かったという事らしい。


「王都に着いてからは、もうウィアのお手柄です。まるで姫の居場所が分かったかのように僕達を導いてくれました」
「そうだったの……。ウィアも本当に有難う」


長年付き合って、ウィアとの間にも繋がりが出来たのかもしれない。
自分を乗せ進む愛馬を、優しく撫でるルミザ。
乗る用と荷物運び用の駱駝を明日の為に5頭手配してから、2人は荷物が多いだろうロイを手伝いに行く事にした。
私、始めからロイと一緒に行けば良かったかしらと苦笑するルミザに、エリウッドは訊ねる。


「ウィアも共に連れて行くんですよね?」
「えぇ。砂漠で馬は足手まといになるけれど……でも今まで、私を助けてくれたこの子を置き去りになんて出来ないわ」


6年前に父から授かり、数年後に緊急時の脱出用となっても、ウィアは大事な愛馬だった。
この旅が始まってからも随分と世話になったし、捨て置くなど出来ない。
エリウッドもそんなルミザの気持ちを汲み取って、優しく頷いた。


「はい。今までルミザ姫を共に助けてくれた存在ですからね。僕も彼女を捨て置けません」
「有難う、エリウッドならきっと分かってくれると思ってた。ここまで一緒に来たんだもの」


思えば、随分と遠くへ来てしまった。これからも自分は様々な助けを必要とするだろう。
この砂漠にあるという魔道士達の里で、その助けに応えられるだけの力を手に入れたい。


「エリウッド、これからも宜しくお願いします」


穏やかながらも真っ直ぐ告げるルミザに、エリウッドは再び、優しく微笑んで頷いた。



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