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11章外伝 歩む前に



ルミザはロイと共に、薬や食料などの調達へ。
まずは食料などを買ってしまってから、薬などを買いに道具屋へ向かう。
その途中、以前に気になる事があったと思い出したルミザは、ロイに訊ねてみる事にした。


「ねぇロイ、あなたラエティアの王城で囮になってから、どうやってカネレまで行ったの?」
「えっ、……あれか……」


ルミザを逃がす為、ルネス軍の囮になったロイ。
再会したのはカネレ王国の弓使いの村で、何故そこに居たのだろうか。
ロイが言うには、自分に何が起きたのかサッパリ分からないらしい。


「敵軍に囲まれてさ、もう死ぬのかなって思った。だけどその後、気を失いそうになって、意識が消える瞬間に……。誰かが助けてくれた気がする」
「助けられたの? カネレに居たのは……」
「全く分からない。気を失って、気が付いたら弓使いの村の奴らに助けられてたんだ。その後は姫様の知ってる通り」


ロイの話を聞くと、誰かがルネス軍からロイを助けてカネレまで運んだと考えるのが妥当か。
一体誰が、何の為にそんな事をしたのか、そもそもどうやって、ルネス軍が溢れ返る王城からロイを助け出したのか。
考えているうちに道具屋へと辿り着き、薬など必要な物を買い揃える。


「えっと、傷薬と……」
「毒消しもあった方がいいみたいだよ。砂漠には毒のある生き物や植物がいるらしいしな」


砂漠など初めての経験となる。あまり大荷物にならぬよう、買う物は吟味しなければならない。
荷物を積む駱駝も1頭で済ませるべきだろう。
ロイと2人で買い物をするうちに、何だか楽しくなってきたルミザ、ついクスリと微笑む。


「不謹慎だけど、何だか楽しいわ。旅行の準備ってこんな感じかしら」
「かな。楽しいんだったらそれが一番、ルミザ様が悲しい顔するのって苦手だからさ、オレ」


確かラエティアの王城から脱出する時も、ロイはそんな事を言っていたような気がする。
彼の為に、少しくらい辛くても笑顔で居ようかなと思うルミザ。
必要な物を買い揃え、落ち合う約束の宿へ2人で向かいながら、次の旅への意志を話す。


「光魔法、使いこなせるようになりたいわ」
「あぁ。そして早く邪神を倒して国を取り戻そう」


居てくれる、支えてくれる……それはルミザにとって幸せな事だった。



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