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ワリオから奪ったカーゴに乗り、爽快な平野を進むデデデとセルシュ。
カーゴの荷台にはフィギュア化したピーチ・ネス・ルイージが乗っており、更にフィギュア化させるファイターを求めて東へ。
「ワドルディの報告があった中で一番近い所ね。一人じゃない可能性もあるけど、猶予がどれだけあるか分かんない事だし、選り好みはしてられないわ」
「出来れば強そうな奴が良いが、そういう奴はフィギュア化させるのに手間取るだろうな……」
「手間取るどころか負ける可能性もある訳だけど。っていうかデデデ、ファイターは選ばれてるんだから、形は違えど皆強いよ」
「セルシュよ……強そうな見た目というのは割と大事だぞ」
「弱そうに見えたら敵も油断してくれるんじゃない? ま、要はファイターなら誰でも良いって事ね!」
「極論だな……が、結局はそうなるんだろう」
居ないより居る方が良い。
セルシュの言う通り、ファイター達は皆、元の世界から特別に選ばれた存在。
形は違えど全員が強者で、相当な実力者なのだ。
「そこを行くとセルシュ、そんなファイター連中の中で常に上位に名を連ねるお前はどれだけ強いんだ。他のファイターは順位が上がったり下がったり、下位から上位へ、上位から下位へ移動する事も珍しくないというに、お前は上位から動いた事が無いだろうが」
「なんで知ってるの?」
「まだファイター達に顔を出していないとは言っても、情報ぐらいは入るさ。ワシ……というかメタナイトを訪ねて来たファイターがまさか、そんな実力者ったぁ驚いたぞ」
「ふふふ、この事件が解決したら対戦しようか。きっと私の強さに驚くわよ!」
「もう全部お前一人で良いんじゃないかな」
「いやそこまで強くない。ってかさり気にタブー討伐を私一人に押し付けようとしないで下さいませんか」
さすがのセルシュもタブー相手に無双できる程の強さは持っていない。
直接戦った訳ではないが、出会った相手の強さぐらい窺い知れる実力はある。
……ルイージの件はまあ、ノーカウントで。
平野を進んだ二人はやがて美しい湖畔へ辿り着いた。
何も無かったらピクニックにでも来たいと思える爽やかな景色を見ていると、こんな事件を起こしたタブーや亜空軍が益々許せない。
「何よりハルバードを! 奪った事が! 許せないっ! てか極刑に値する!!」
「過激だな」
「だってすっごい楽しみにしてたのにこの仕打ちよ、許せる訳ないじゃない! ……そう言えばメタナイト一人で大丈夫かな? 誰か他のファイターを見付けて共闘できてれば良いけど」
「あいつもワシと同じくファイター達に顔出ししとらんからなぁ……。下手すりゃファイターの中の誰かと鉢合わせ、お互いに誤解したまま相討ちとか……」
「うわぁぁ最悪のパターン……! 出会うにしても、話をちゃんと聞いてくれる落ち着いたファイターでありますように!」
他人の心配をしている場合ではないかもしれないが、亜空軍と出会い戦いになる事が無いまま静かな時間が流れているので、余計な方向に気を回してしまう。
……ひょっとして、だからセルシュもデデデも気付かなかったのだろうか?
今カーゴには、フィギュア化“していない”ファイターが“3人”乗っている事に。
湖畔を進んだ先、ふとセルシュが木々に阻まれた茂みの先、見知ったファイター達を見付ける。
「デデデ、今、向こうにマリオ達が……!」
「なに!?」
「見間違いじゃなかったら、誰かがフィギュア化してたよ!」
「しめた! 復活させられる前に奪うぞ、しっかり掴まっとれよ!」
カーゴのスピードを上げ、一気に茂みから抜ける。
機体を斜めらせながらカーブし、道に沿ってマリオ達が居る地点へ。
確認のため一旦通り過ぎる形を取ると、マリオと……一緒に居た白い翼を生やした少年と、通り過ぎ様バッチリ目が合ってしまう。
しかも確かに、マリオは荷台のピーチ達にも注目していた。
「あれはセルシュ! どうしてフィギュア化したピーチ達と一緒に居るんだ!」
「デデデ、リンクとヨッシーがフィギュア化してる! キャッチ失敗しないでよ!」
「……!?」
ファイター達をフィギュア化させて奪う者達の存在は知っているのか、マリオはセルシュがフィギュア化したファイターを集めているような言葉を放った事で顔を驚愕に染める。
ワリオ達は以前からマリオ達のライバル的存在であり、敵に回っても特に驚くような事ではなかったが、マリオ達の誰とも因縁の無いセルシュは話が別。
通り過ぎた先、更に機体を傾けてUターンし、デデデはカーゴの末尾に付いているアームを展開させた。
そして通り過ぎ様リンクとヨッシー、二人分のフィギュアを同時に掴む。
「よっしゃー!!」
ガッツポーズ、後にハイタッチして喜び合うデデデとセルシュ……だが次の瞬間。
リンクとヨッシーを掴んでいるアームの上から、ひょこりと現れるカービィ。
セルシュ達が突然の事に唖然としている隙に、カッターでアームを切り落としリンクとヨッシーを助け出してしまった。
「あああああ!! せっかく手に入れたのにー!!」
「数の上で分が悪い、逃げるぞセルシュ!」
進んだ先で更にUターンしマリオ達の側を通り抜けようとするデデデ。
しかしその先で、フィギュア化を解除されたリンクが弓矢を構えていた。
「セルシュ、お前……! まさかお前まで俺達を裏切ったっていうのか!?」
「……だったら何? 亜空軍側に付いた方が有利だし、本気の皆と戦う機会もあるかと思っただけよ!」
「嘘でしょう……!?」
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