Breeze〜微風〜


サンサンと降り注ぐ青天の日差しの中、ルクナは溜まった洗濯物を干し終え、ラインフォードの庭にあるテラスにもたれていた。
そんな彼女の髪をフワッとなびかせ吹く風にあることを思い出し思わず笑みがこぼれる。

「…ルー姉?」
「?!」

突然声をかけられ思わず体をびくつかせるルクナ。声をかけたヒューイは不服そうにしている。

「…そんなにビックリしなくてもいいじゃんかー」
「ご、ごめんごめん。ちょっと物思いに耽ちゃって」
「ルー姉がボーッとするなんて珍しいね」
「うーん…この風のせいかな」
「風?」

首を傾げるヒューイにルクナは優しく微笑みながら頭を撫でた。

「うん。ぼくの大事な大事なknightのことを思い出させたの」
「ナイト…あ、フラウ兄のこと?」

顔をパァッと輝かせながら答えを導き出し、そうだよと自分の答えが合っていると言われ更に嬉しそうにする。
が、すぐに何故フラウ兄のことを?と疑問じみた顔になったのをルクナは見逃すはずがなく、

「今じゃすっかり大人しいけどね、昔はもっと気性の荒い性格だったんだよ」

と少し苦笑いしながら言うとヒューイは何かわかったかのような顔をみせた。

「ルー姉がフラウ兄と出会ったときだね!」
「そうだよ。懐かしいなぁ…ってヒューイはフラウがきてしばらくしてからここにきたから経緯知らなかったね」
「うん。フラウ兄の異常なまでのルー姉に対する護衛を見て何かあったっていうのはわかってたけど詳しくは知らないよ」
「ならこの際だし教えてあげる。多分これでフラウがなんでここまでぼくを守ってくれているのかがわかると思うし。…リンもおいでよ」
「えっ?!」

いきなりその場にいない修行仲間の名を言われ驚きを隠せない。が、テラスの植木鉢の後ろから出てきた少女に更に驚き思わず大きな声を出してしまった。

「うわぁあああ!!!い、いつのまに?!」
「ヒューイ、リンは最初からいたよ?」
「えぇ?!でも気配とか何も…」
「だって…気配消してた…もん」
「なんで?!」
「話し…聞きたくて…」
「なら普通に出てきたらいいのに…リンは相変わらず恥ずかしがり屋なんだから」

クスクスと笑いながら二人を手招きしそばにあったベンチに腰掛ける。
ヒューイが持ってきていたミックスジュースを飲みながら二人は興味津々な目でルクナを見ている。

「なら話そうかな。


その日は今日みたいな青天で、ラインフォードができて最初の依頼だった─────」


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