Waking


───



「ただいまー」
「帰ったぞ」
「お帰りなさ…えっ?!ちょ、ちょっと、その子どうしたの?!」
「「見回り中に落ちてきたんだ」」
「落ちてきたって…そんな物みたいみたいに言わないでよ… とにかく治療しないと…!!」
「悪いなカントク 伊月、治療の準備するから奥の部屋に連れて行ってくれ」
「了解 ハッ!領海で魚を大量買いの了解を得る!キタコレ!!」
「「きてないからさっさと行け/行きなさい!!」」



***


奥の和室についた伊月は部屋の真ん中に布団を引き傷ついた少年を寝かせた。そして今一度改めて目の前の少年をみる。

「命にかかわる傷はなさそうだな。よかった…」

胸をなでおろしホッと息をつく。
が、目を覚ます気配はなく依然として眠ったままであった。

「この様子だとしばらく起きてこないだろ。起きるまで武器の手入れでもしとくか」

少年から少し離れた伊月は耳に付けていたピアスを外す。



バサッ


鷲の翼が背中から現れた。
そして翼を広げ羽を一枚取ると握りしめる。
すると羽は形を変え一本の鉈になった。


手入れをしてしばらくたった頃、うぅと小さな声が聞こえたのを伊月は聞き逃さなかった。
タッと側に寄ると少年は魘されているようで苦渋な表情を浮かべている。

「おい、大丈夫か?!」

とっさに少年の手を握り額の汗を拭った、その時

「?!!」

"何か"が伊月に流れ込む。

「かはっ…ぐ、うぅ…?!」

咄嗟に飛び退くが抑えることのできない自分の中の"何か"に苦しむだけで。
そして徐々にアヤカシの血が熱くなるのに気づいたのはそう遅くなかった。

「?!…な、で…くっ、ふっ…っあ…」

理性が飛ぶ、そう思った時

「伊月!!」

バン!と日向が襖を勢いよく開けた。
そして具合を悪くしている仲間を見つけるとすぐ側に近寄った、が、明らかに様子が変である。

「伊月、どうし…っ! お前なん…」
「ひゅ、が…よくせ、そうちを…早く!」
「!!? わかった、ちょっと我慢しろ、よ!!」

伊月の後ろから首と腕を捕らえる。
少しきつめに絞めたのかそれとも己の身体が痛むのか、どこか苦しそうで。
それを横目で確認するや否や伊月の耳にピアスをつける。
すると今まで苦しんでいた伊月は力をいきなり止められて脱力するかのように日向の腕へ落ちた。

「はっ…ぅあ…」
「伊月!大丈夫か?!」
「はぁっ…あり、がと、日向…だ、大丈夫だ…」
「けどなんであんなことに…?」
「わからない…ただ、あの少年の手をとったとたん何かが俺に流れてきた、様な気がする…」
「?!…それって…」

『…それは僕の力があなたに流れ込んだんです』

「「?!」」

声のする方へ顔を向けると、今まで眠っていた少年が起き上がり二人と対峙していた。



|

[しおりを挟む]
[Back]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -