ボタン
「………音也、弥生、聞いてるんですか?

全く、これで何度目ですか。
プロとしての自覚が足りないからこう何度も何度も遅刻するんです。」

「…ま、まぁ…でも間に合ったし…ね、音也?」

「そうだよ!
…確かに、トキヤとの打ち合わせの時間は短くなっちゃったけどさ…。」

「集合時間に間に合えば良いというものではないと私は言ってるんです。

これが私とだから良かったものの、もし違う方との出演だったらどうするつもりだったんですか?」


…あ、あぁ…今日もトキヤのお説教が…。


全ての始まりは、私と音也がトキヤの指定した集合時間に遅れたことだった。

確かに悪いとは思ってるし、近辺の地図を調べなかった私の責任だけど…。

だからって一時間もお説教すること無いじゃない!


「だから謝ってるじゃない〜…。」

「それが弥生の人に謝罪する態度だと。」

「ま、まぁ…トキヤも弥生も次の仕事があるんだし…俺も弥生もちゃんと反省してるから!」

「…はぁ、確かに次の仕事に遅れてしまっては元も子もありません。

今日のところはこれで良いでしょう…ただし、次はありません。」


よ、良かった…!やっと解放された!

音也、ナイスだよ!


「弥生、次の現場に向かいますよ。
音也はこれから別行動でしたね。」

「俺は今からセシルとバラエティー番組の撮影なんだ。

弥生、トキヤ、レコーディング頑張ってね!」

「うん!音也も頑張ってね!」


音也と別れて、改めてトキヤを見て気付く。

…あ、トキヤのシャツのボタンが外れそう…。
あれ、確かジャケット撮影で使うよね…。


「…トキヤ、ボタン…。」

「?…あぁ、いつの間にか取れそうになっていますね。
現場に着いたら、衣装担当の方に直して貰いますよ。」


そうは言うけど、もうほんとに取れかかってるし、袖口だし…。
私が直した方が早いよね。


「………ちょっとじっとしてて!」

「弥生?」

「ボタン直しくらい私でも出来るんだから!」


鞄にいつも忍ばせている、臨時の裁縫セットを取り出して、ボタンを縫い始める。「裁縫セットなんて持ち歩いているのですね。」

「まぁ私だって女の子だし…。」

「…見直しました。助かります、弥生。」

「なっ……っ!」

あ、指刺しちゃった…衣装に血がつかないように、一応絆創膏貼らなきゃ。


「もう、トキヤがらしくないこと言うから、指刺しちゃったじゃない!」

「私は事実を言ったまでです…弥生、刺したのはどこです。」

「え、ここ…。」


トキヤにうっすら血の滲んだ指を見せると、あろうことか、トキヤはその指を口に近づけて…っ?!


「ちょっ…トキヤ!何してるの?//」

「消毒ですが?」

「はっ…恥ずかしいじゃない…//」

「恥ずかしがる弥生も私は好きですよ。」


…なっ…トキヤ何言ってるのよ!




結局、トキヤのせいで撮影ギリギリになっちゃって、林檎ちゃんに注意されちゃうし!

もう、私ばっかりドキドキさせるんだから!


「…トキヤ!」

「何ですか弥生…。」


私はトキヤに思い切り近付いて、ちゅっとキスをした。

「私だってやられっぱなしじゃないんだから!べーっだ!」


…まぁ、珍しく唖然としてるトキヤが見れたし、いっか!











「私に不意打ちを…ふふ、弥生もやりますね。」





――――――――――

誰だよもはや…
似非すぎて、載せるか迷ったけど、せっかく書いたから載せます!

しかも無駄に長い(笑)
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