プロローグ

…この世界、ジルディ=バレーの始まりは、今から5064年前…B.I.C.64年に遡る。

ジルディ=バレーは、世界樹が生み出し、世界樹より生まれし風、水、火、土の精霊が作り出した精霊石から溢れ出るエレメントがバランスを保ちながら蔓延したことで育ったと言われている。

それから、はるか長い年月を書け、この世界そのものも、人も。

繁栄してきた。



―しかし、それもI.C.2000年までの話である。―



I.C.2000年、1人の発明家が、ある発明品を生み出した。

『マインド・エンジン』と名付けられたそれは、この世界でバランスを失い、枯渇し始めていた『エレメント』を必要としない、新たな技術であった。



…しかし、『マインド・エンジン』は、便利であると同時に、恐ろしいものでもあった。



『マインド・エンジン』は、『エレメント』を必要としない。

その代わりに、『人の心(マインド)』をエネルギーとして、半永久的に動く…そんな機械であったのだ。



―それから、世界中で戦争が多発した。―



"負けた国は、勝った国に、自国民の心を渡す"

…そんな悪魔のような条件付きの、戦争が。



I.C.3500年頃から始まった各地の戦争は、未だに終わりを見せない。



大国は、『マインド・エンジン』のエネルギー確保のため、秘密裏に、略奪さえし始め…。

ジルディ=バレー1の大国、『ホーリー・グロウ』に住む、1人の青年にも、その魔の手は伸びた…。





物語は、青年が心を失うところから始まる…。

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