一人暮らしはみんなで鍋するためにあると思うの


誠凛

とある寒い日───
俺たちはいつも通りキツい練習をこなし各々の家へ帰るべく片づけをしているときだった。
まだこの時は地獄を見るなんて思っていなかったんだ…





「ぅおっ さみぃな…」

「冬ですからね」

「寒いのは苦手だぜ…って黒子?!おまっ、いつの間に?!」

「最初からですが…」


「みんな、ちょっと聞いて!」

隙間風に体を縮こませる火神と黒子の会話を見たカントクが決心したように全員に呼びかける

「どうしたんだ?カントク」

日向が訪ねるとリコは少し俯いたように話し始めた

「最近めっきり寒くなってきたわね…こうして練習した後は体が温まってるからいいけれど外にでたら冷風ですぐに体が冷えるわ…」

「そうだな だがそれがどうかしたのか?」

「日向君、これは大事なことなのよ?!温まった体ですぐに冷えた場所に行ったら体を壊すじゃない!!」

「あ、ああ…そうだな…」

「でもさ、カントク 冬はしょうがないんじゃないかな?はっ!生姜がないのはしょうがないktkr!」

「きてねーから、伊月黙れ」

「それでリコ、何が言いたいんだ?」

木吉がリコに訪ねると待ってましたと言わんばかりの満面の笑みでみんなを見渡し

「だからね、みんなで鍋しましょ!!」

そう言った

突然の事だったのでその場にいる全員が呆気にとられている

「あー…カントク?ちなみにそれは誰が作るんだ?」

恐る恐る日向が聞くと

「勿論みんなで作るのよ!」

「みんなで?」

「そう!今からスーパー行って材料調達しに行くわよ!」

「それならいいか つーか金はあるのか?」

「それなら大丈夫よ パパが軍資金渡してくれてるから」

「…よく影虎さん許してくれたな」

「なんかパパ、今日帰れないみたいだからこれで豪勢に食べろってくれたのよ」

((影虎さん…それでいいんですか?!))

影虎さんの思い切りにツッコむ日向と伊月だがそれを気にせずリコは

「じゃあ今から買い出しに行くわよ!」

と張り切って外へ出ようとすると

「ちょ、ちょっと待ってくれ…いや、ださい!」

火神が慌てたように引き止める

「どうしたのよ火神君」

「いや、鍋やるのはいいんすけどどこやるんだ…ですか?」

「そんなの決まってるじゃない」

そう言うとリコは火神に指差し

「火神君、あなたの家よ!」

と言い張った。
突然のことで呆気にとられた火神だがはっとし

「え、なんで俺ん家なんすか!」

「いきなりこの人数で人様の家には行けないでしょう?」

「ならカントクの家で…」

「火神、お前影虎さんに殺されたいんか?」

日向の止めとけと言わんばかりの顔に火神はうっと引き下がる。
そして

「それに火神君は一人暮らしでしょ?なら突撃しても問題ないじゃない!」

というリコの発言に渋々同意したのだった。




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